創業120年の地方ゼネコンが「建設DX」に成功したコツ

建設テックの知恵袋

平山建設株式会社 代表取締役社長 平山 秀樹

創業明治34年(1901年)、平山商店として木材の営業からスタートし建築請負業へと業務を拡大。1962年に平山建設株式会社が設立され、建設業へ本格参入。都内などの大都市圏ではなく、所在地である成田市にビジネスの軸足を集中させる事により、一時低迷していた企業規模を大幅に回復、官民連携による京成成田駅前の開発など業務拡大を続けている。

はじめまして。平山建設株式会社(千葉県成田市)の代表取締役社長を務めている平山秀樹と申します。当記事では、平山建設が推進している建設DXや働き方改革について、一歩踏み込んだ内容を紹介させていただこうと思います。

建設DXは特別なことではない。平山建設の歴史

おかげさまで平山建設は2021年8月で創業120年、設立60周年を迎えました。私が4代目社長になるのですが、会社を継承するようになったのは2005年。それからしばらくして本格的に働き方改革、DXに取り組まないといけないという時代の流れが始まりました。

「建設DXに成功した秘訣は?」とよく聞かれるのですが、建設業界を見渡せば自分たちの時代だけが特別に新しいことに挑戦しているわけではありません。平山建設の歴史を振り返って見ても、いつの時代も新しいことを取り入れてきた過去があります。

初代金吉(1876 – 1958)は、当時珍しかった蒸気機関を使った製材所を開きました。2代目清(1901 – 1987)は、当時としては新鋭のテクノロジーであるフォークリフトを取り入れて、人力でやっていた現場作業を効率化することに挑みました。3代目金吾(1935 – 2014)の昭和50年代前半には、いち早くオフコン(オフィスコンピューター)を取り入れました。まだソロバンを使った経理で注文書も手書きの時代でしたが、プログラムを作ったり常に新しいテクノロジーを取り入れたりしていました。そして、単に技術を取り入れるだけでなく、各代各代で子弟教育、社員教育に手間暇を惜しまず取り組んでいました。

技術革新と教育の平山建設の歴史があり、「心・美・信・禮・創」をモットーとした企業文化を先代から受け継ぎながら、地域に密着した取り組みを続けているのが現在の平山建設です。

建設DXは特別なことではない。平山建設の歴史

1901年(明治34年)千葉県成田市で木材、薪炭を販売する「平山商店」を創業。
1962年(昭和37年)建設業を立上げ、平山建設株式会社設立。
1973年(昭和48年)創立10周年記念事業として、新社屋を成田市役所前に建設
1995年(平成7年)宅地建物取引業者免許を取得し、賃貸管理業開始
1999年(平成11年)品質管理システム「ISO9000シリーズ」認証取得
2000年 (平成12年)センターホテル成田開業 
2001年(平成13年)創業100周年
2005年(平成17年)平山金吾が代表取締役会長に、平山秀樹が代表取締役社長に就任
2005年(平成17年)成田(Narita)を根拠地にして、住空間(SPAce)を提供するNaSPAブランドを発表
2016年 (平成19年)新社屋建設、移転
2021年(令和3年)創業120年、設立60周年

Google Workspace導入から建設DXをスタート

平山建設では、10年以上前からG Suite (現Google Workspace)の法人アカウントを作り、社員全員にGoogleアカウントを発行しました。とにかく「これからは必要だ」「使うように」と指示を出していましたが、そうは言ってもなかなか社内に普及しませんでした。

そんな時にG Suite (現Google Workspace)の教育をやっている方と出会いました。その方に頼み込んで、平山建設社内でGoogleの教育を1年に渡って実施していただきました。まず各部署から18名を選抜し教育を始めました。苦手意識を持っている人もいるので、まずは基本的な使い方からはじめ、業務に便利な機能まで細かく教育しました。教育による社員のITリテラシーの向上をきっかけに、「単にITツール導入だけでは上手くいかない。導入に伴う広いリテラシー教育、普及にも力を入れないといけない。」と思い直しました。平山建設のDX化の取り組みはそこからがスタートでした。

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