属人化した写真管理から、全社標準化へ。Photoructionが支える西松建設のDX推進 ―西松建設株式会社

建築事業本部  建築技術部 技術課 脇田駿さん、建築部 坂本一馬さん、 建築部 建築DX企画課 江田千恵子さん、建築部 建築DX企画課 久保田俊平さん

西松建設株式会社

1874年創業、土木・建築事業を中心に、道路・ダム・トンネルなどの社会基盤整備や再開発事業のほか、アセットバリューアッド事業および地域環境ソリューション事業を展開する西松建設株式会社様。同社では以前から一部の現場・支社でPhotoructionを活用してきました。写真管理を中心に全社での運用統一を開始し、現在は検査帳票への活用も進めながら、現場管理業務の標準化に取り組んでいます。 建築部 部長 坂本一馬さん、建築技術部 技術課長 脇田駿さん、建築DX企画課 副課長 久保田俊平さん、副課長 江田千恵子さんに、Photoructionを選んだ理由、現場定着のための工夫、導入後の変化、そして今後の展望についてお話をお聞きしました。

現場ごとにツールがバラバラ。属人化した写真管理が全社課題に

Photoructionの導入を検討された理由を教えてください。

久保田さん:
最も大きかったのは、写真や検査帳票の管理が担当者に依存していたことです。整理や保管の方法が人によって異なるため、担当者以外が必要な情報を探すだけでも時間がかかり、写真整理や書類作成そのものにも多くの手間が発生していました。
また、管理する側から施工途中の状況を把握しづらいことも課題でした。写真や記録が担当者の手元にある間は、どこまで撮影・整理が進んでいるのかを周囲が確認しにくく、必要なときにはその都度担当者に状況を確認しなければなりません。個人の作業効率だけでなく、組織として必要なときに状況を確認できる状態にする必要があると考えていました。
さらに、写真管理や検査帳票作成のためのツールは各現場で導入されていたものの、支社や現場ごとに利用するツールが異なり、全社的な情報共有や業務の標準化が進みにくい状況でした。現場担当者が異動するたびに、新しいツールの使い方をゼロから覚え直さなければならないことも、現場にとって大きな負担になっていました。
専用ツールを使っていない現場では、デジカメで撮影した写真をパソコンに取り込み、Excelで手作業でまとめる運用も残っていました。写真整理をため込んでしまうと、1週間ほど整理作業に追われる担当者もいるほどです。撮影と整理が別の作業になっているため、現場で撮った情報を後から見返し、分類し直す工程も発生していました。
こうした状況を振り返ると、課題は単に写真整理に時間がかかることだけではありません。管理の属人化と現場ごとの運用差を解消し、撮影した時点で必要な情報と結びつけ、撮影から整理までを一続きの業務に変えていく必要がありました。それがPhotoructionを検討したきっかけです。

写真・検査を一つの基盤に。全社標準化のしやすさが選定の決め手

数ある選択肢の中から、Photoructionをお選びいただいたポイントを教えてください。

久保田さん
実際に複数のサービスを比較検討しました。その中で大きな決め手になったのが、写真撮影から整理、検査記録、帳票作成までをクラウド上で一元管理できることです。現場ごとの運用差を減らし、全社的な標準化を進めやすいと考えました。
また、電子黒板や図面上の位置情報と写真・検査記録を紐づけて管理できるため、必要な情報を後から確認しやすく、写真整理や書類作成の負担軽減も期待できました。特に検査業務では、写真管理と検査の間でデータを扱いやすいことを重視しました。同じ情報を何度も扱うのではなく、複数の業務をまたいでもデータが途切れずにつながることは、今後活用範囲を広げていくうえでも重要だと考えています。

坂本さん:
全社で使うことを考えたとき、もう一つ重要だったのは、現場で蓄積した情報を一つの場所に集められることでした。撮影した本人だけが持つ情報にするのではなく、現場で作業する人も、支社や本社で確認する人も、情報にアクセスできる。特定の担当者しか状況が分からない状態を防ぎ、現場ごとの運用差を減らせるという意味でも、全社で使う価値の大きいツールだと感じました。
また、当社の業務に合わせた検査帳票の整備や、支社・現場への展開を見据えた運用面のサポートを受けられることも、継続的に活用していくうえで重要な理由でした。

操作説明会とDXサポーターの伴走で、現場の不安を解消しながら全社展開を推進

導入時に困ったことはありますか?また全社への導入をどのように進めましたか?

坂本さん:
全国に複数の支社がありますが、最初から「全社でPhotoructionを使う」と決めていたわけではありません。クラウド上で管理できることに加え、現場で撮影した写真をそのまま整理でき、帳票を作りやすいといった点が評価され、まず北日本支社を中心に活用が始まりました。その後、関東建築支社・西日本支社へと利用する支社が少しずつ広がっていきました。
全国5支社のうち半数以上で利用が進み、社内での実績と現場への浸透が見えてきたことで、すでに使われているPhotoructionに統一した方が全社展開しやすいと判断しました。そして2026年4月から、Photoructionによる全社での運用統一を開始しました。

久保田さん:
全社で共通のツールを使うことには、異動して別の現場に行っても、新しいツールを一から覚え直す必要がなく、同じツールをそのまま使えるという大きな意義があります。
一方で、実際に社内へ展開する段階では、新しいツールやシステムの操作方法を覚える必要があるため、当初は支社や現場側に一定の抵抗感がありました。特に日々の業務で忙しい現場にとっては、これまでのやり方を変えることへの不安や負担感があります。そこで、現場が使い始めやすくなるよう支援するため、フォトラクションさんに操作説明会を開催していただき、基本的な使い方や現場での活用方法を具体的に説明してもらいました。

江田さん:
私は、現場で働く方々を中心としたDX施策の企画や全国展開を担当しています。現場で使いやすいツール集を作って毎年更新したり、全国の支社担当者との会議を企画したり、生成AIの勉強会を開催したりと、ITツールに不慣れな方でも利用できるよう、切り口を工夫した教育・普及活動に力を入れています。その中で大切にしているのは、ツールを決めて「これを使ってください」と渡すだけで終わらせないことです。現場に定着させるには、実際に使い始めるところまで伴走する必要があります。Photoructionの導入時には、まずDX推進ツールの一つとして、写真管理の効率化に役立つことを各現場に周知する仕組みを構築しました。今後、全社展開をしていくにあたり、各支社に配置している「DXサポーター(*)」とフォトラクションさんを中心にして、利用開始時の説明や初期設定、運用上の相談対応まで支援する体制を整えていきます。
全社展開はまだ始めたばかりなので、高度な機能を一度に説明するのではなく、まずは日常業務の中で使う場面をイメージしてもらい、基本操作から実際に触れてもらうことを重視しています。一気に完成形を目指すのではなく、まず使ってみて、現場から出た声を反映しながら、少しずつ全国の運用ルールを整えていくという進め方です。
また、今年度からは新入社員研修のカリキュラムにも組み込んでいく予定です。新入社員の段階から共通ツールに触れる機会をつくることも、今後の定着につながると考えています。

*DXサポーター
2025年度から各支社に配置され、各種DXツールの導入・活用を推進するため、現場を支援する人材のこと

写真整理の効率化から、現場情報を「組織の資産」へ

Photoruction導入後、現場や管理側ではどのような変化がありましたか?

脇田さん:
一番大きな変化は、写真管理にかかる作業時間が減ったことですね。現場では大量の写真を扱うため、以前は1枚ずつ整理する作業に膨大な時間がかかっていました。現場や撮影枚数によって異なるので「何時間削減できた」と一律には言えませんが、写真管理そのものが大幅に効率化されたという実感はあります。現場からも「写真整理の時間が減った」「電子黒板になったことで、黒板やチョークを現場に持って行かなくてよくなった」といった好意的な声が多く上がっています。
もう一つ大きいのが、現場の状況を確認するスピードです。以前は本支社や事務所から現場の状況を知りたいとき、現場担当者に連絡し、記録を出してもらう必要がありました。今ではPhotoruction上の記録を見るだけでリアルタイムに状況を把握できます。技術部門の立場から見ても、現場から個別に資料を集めてから確認するのではなく、まず同じ記録を見たうえで必要な支援を考えられるようになりました。現場と同じ情報を見ながら話せることで確認事項も整理しやすくなり、技術的な支援にもつなげやすくなっています。
さらに、一部の現場では施工時のチェックリストと写真を紐づけ、施工のチェックと写真撮影を同時に行う使い方も始まっています。写真を撮るだけでなく、Photoructionの機能を組み合わせることで、さらに業務を効率化できると考えています。

坂本さん:
現場での作業効率化に加えて、管理する側から見た大きな変化は、情報の持ち方が変わったことです。以前のように担当者のパソコンだけに情報があると、その担当者が異動した際や、数年前に終わった現場の情報を確認したいときに非常に困っていました。「3年前の現場について確認したい」となった際、本社から支社または当時の現場担当者にメールや電話をして確認しなければなりませんでした。
Photoructionでデータをクラウドに蓄積することで、写真や記録は「担当者個人の持ち物」ではなく、組織として引き継げる情報になりました。今では本社側からも写真や記録を確認でき、過去の現場について必要な情報を探しやすくなっています。今後は、有事の際にも本社側から迅速に現地の状況を確認できるようになることを期待しています。

久保田さん:
全社での運用統一を開始したばかりですが、写真管理については徐々に定着してきています。実際の現場でも、Photoructionの電子黒板を使って撮影する運用が広がっています。
まず写真管理で共通の基盤が定着すれば、検査帳票や建設BPOを広げる際にも、まったく別の仕組みを新たに覚えてもらうのではなく、日頃使っている流れの延長として展開しやすくなります。建設BPOサービスや検査帳票はこれから本格的に活用していく段階ですが、写真管理と検査記録を同じ仕組みで扱うことで、業務効率化だけでなく品質管理の面でも効果が出てくることを期待しています。
今後は、一つひとつの機能の効果を見るだけでなく、写真・検査・外部支援をどうつなげれば現場全体の負担を減らせるのか、という視点で検証していきたいと考えています。

現場の声とデータを生かし、現場業務の「ワンストップソリューション」へ

―Photoructionに期待することと、今後の展望についてお聞かせください。

脇田さん:
現場の人が使い慣れてくれば、「もう少しこうなれば便利なのに」という声も必ず出てくると思います。そうした一つひとつの工夫や改善は小さくても、積み重なれば現場全体の効率につながります。
全社展開によって、各支社から新しい使い方が生まれてくることにも期待しています。ある現場で生まれた工夫を、その現場だけの使い方で終わらせず、他の支社でも再現できる形にしていく。全社で同じ基盤を使っていれば、効果のあった運用を共有しやすくなりますし、そこから「西松建設としての使い方」を少しずつ育てていけると思います。
機能面では、先進技術やAIのさらなる拡充にも期待しています。例えば、図面を入力すると自動で電子黒板が生成されたり、AIを活用して手作業が自動化されたりと、現場の負担を減らせる便利で先進的な機能を積極的に追加していただけると嬉しいですね。

江田さん:
私が特に重視しているのは、機能が増えることと同時に、現場が迷わず使い続けられることです。利用する人のITスキルや経験はさまざまですので、便利な機能があっても操作が複雑になれば定着しません。日常業務の中で自然に使える操作性を保ちながら、必要な機能を広げていただきたいです。
また、業務を効率化した結果として品質が下がってしまっては意味がありません。効率化と品質確保の両方を支えられる仕組みにしていくことが大切だと考えています。
そのうえで、機能面で期待していることは大きく3つあります。1つ目は機能をさらに拡張していくこと。2つ目は、全社で使う中から上がってくる現場の声を、スピード感を持って機能改善につなげていただくこと。そして3つ目が、蓄積されていくデータの活用です。全社で使えば写真や検査のデータが蓄積されます。それを活用して写真の撮り忘れを防いだり、検査を自動化したりと、次の業務改善につなげていくことを期待しています。

久保田さん:
写真管理を起点に、今後は検査記録や建設BPOなども含め、現場管理に関わる業務をよりシームレスにつなげていきたいと考えています。
Photoructionが、現場で発生する管理業務を一つのプラットフォーム上で完結できる、現場業務の「ワンストップソリューション」になることを強く期待しています。Photoructionの建設BPOサービスについても、配筋検査などにおける対応のスピードや精度に期待しています。

坂本さん:
Photoructionの全社導入は始まったばかりですが、今後は建設BPOも導入しながら、より大きな効果が出てくることを期待しています。
建設業界では今後、職人の方々だけでなく、施工管理を担う人材の不足もさらに進むと考えています。人手不足や働き方改革への対応が早急に求められる中で、限られた人数で安定した品質を確保しながら、効率的に現場を運営していくことが重要です。そのためには、これまで担当者の経験や現場ごとの運用に依存していた業務を見える化・標準化し、デジタルツールを活用しながら、誰が担当しても一定の品質で業務を進められる環境を整えていく必要があります。
もちろん、Photoructionだけですべてが解決するわけではありません。ただ、写真整理や検査といった管理業務を効率化し、現場担当者が本来取り組むべき施工管理や品質確保に時間を使えるようにすることは、そのための一つの手段になると思っています。
こうした取り組みを通じて、業務効率化と品質向上を両立し、その結果として建設業界全体の生産性向上にもつながってほしいと考えています。

―西松建設様、今後の全社展開に向けて引き続きサポートさせていただきます。お忙しい中、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!