建設現場における安全配慮義務とは?違反となるケースや対策などを紹介

最終更新日:2025/11/04

建設テックの知恵袋 編集室

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建設現場では、従業員一人ひとりの生命と健康を守るため、事業者に安全配慮義務が課せられています。

この義務は法律に基づき、職場環境の改善や従業員の健康管理を含む幅広い配慮を求めるものです。怠れば重大事故や法的処罰につながるため、日常業務での危険予知や対策の実施が欠かせません。

この記事では、安全配慮義務の具体的な内容や関連する法律、違反となるケース、そして現場で実践できる安全対策のポイントをわかりやすく紹介します。

【目次】

  1. 安全配慮義務とは
  2. 安全配慮義務の範囲
  3. 安全配慮義務に対応するためのポイント
  4. KYシートの作成管理ならPhotoruction
  5. まとめ

安全配慮義務とは

安全配慮義務とは、事業者が労働者の生命や健康を守るために必要な配慮を行う法的義務を指します。

具体的には、労働災害の防止や職場環境の改善、健康面への支援を行い、安全で快適な労働条件を確保する義務です。

ここでは、安全配慮義務に関連する法律や内容、違反した場合の罰則を解説します。

安全配慮義務に関連する法律

安全配慮義務に関連する主な法律は、労働契約法第5条および労働安全衛生法です。

安全配慮義務は努力義務ではなく、遵守すべき明確な法的義務とされています。

労働契約法第5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者が生命、身体等の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をするものとする」と明記されており、この「必要な配慮」には労働者の心身の健康も含まれています。

また、労働安全衛生法第3条では、事業者が単に最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現や労働条件の改善を通じ、労働者の安全と健康を確保することが求められています。

建設現場では高所作業や重機の操作など危険を伴うため、これらの法令に基づく安全衛生体制の構築が不可欠です。

出典元:e-Gov法令「労働契約法第5条」「労働安全衛生法第3条

安全配慮義務の内容

安全配慮義務において、事業者は従業員の生命・身体・心身の健康を守るために配慮を行う責任があります。

主な内容としては、労働環境の危険を予見し、労働災害や健康障害を未然に防ぐための措置を講じることが求められます。

具体的な内容は以下のとおりです。

健康配慮義務・定期健康診断の実施
・メンタルヘルスケアの推進
・労働時間の適正管理と過重労働防止
職場環境配慮義務・作業環境の安全設備や機械の適切な管理
・メンテナンス労働災害防止のためのリスクアセスメント
・ハラスメント対策(パワハラ・セクハラ防止)
・危険物・有害物の適切な取り扱い

これらは労働契約法第5条、労働安全衛生法第3条に基づく法的義務であり、企業はこれを果たさなければ労災や法的責任を負うことになります。

安全配慮義務の適切な履行は、従業員の働きやすさや企業の信頼性向上にも直結します。​

安全配慮義務違反となるケース

安全配慮義務違反は、事業者や管理者が労働者の安全や健康を守るための適切な措置を怠った場合に成立します。

具体的には、次のような例が挙げられます。

違反ケース内容
作業環境の不備危険物の管理不備や不十分な整理整頓により事故が発生した場合
安全装備の未支給・不使用保護具の未支給や指導不足、作業員が保護具を正しく使用していない状態
安全教育の不十分さ新人や転勤者への適切な安全教育が実施されていない場合
過重労働長時間労働や過労による健康障害を放置した場合
危険予知活動の未実施作業前のリスク確認や周知が行われていない状況

これらの違反は労働災害や健康障害の直接的な原因となり、事業者は法的責任を問われることになります。

特に建設業では、高所作業や重量物運搬など危険性が高く、安全配慮義務違反のリスク管理は重要です。

安全配慮義務の範囲

安全配慮義務は、現場で働くすべての労働者に及ぶため、雇用形態の違いや契約の有無にかかわらず、安全な労働環境の整備が求められます。

ここでは、安全配慮義務の範囲について詳しく解説します。

雇用関係にある労働者について

安全配慮義務は、企業が直接雇用しているすべての労働者に対して適用されます。

対象は正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト、在宅勤務者などの雇用形態を問わず、多様な勤務形態を含みます。企業は労働者が安心して働けるよう、作業環境の整備や安全教育の実施、労働時間の管理、メンタルヘルスケアなどを通じて生命・身体そして心の健康を配慮しなければなりません。

在宅勤務者に対しても、適切な健康管理や職場環境のサポートが求められています。

下請先が雇用する労働者について

原則として、元請企業は下請先が雇用する労働者に対して直接の安全配慮義務を負いません。

安全配慮義務は労働契約を結んだ使用者に課されるため、下請先企業が自社の労働者の安全確保に責任を持ちます。

しかし、最高裁判所の判例によれば、下請け労働者が元請企業の指揮監督下にあり、元請の設備や工具を使用して作業している場合、元請企業にも安全配慮義務が認められることがあります。

これは「特別な社会的接触関係」や「実質的な使用関係」と呼ばれ、元請企業が事実上の管理責任を負うと判断される状況です。したがって、建設現場のように複数業者が混在する環境では、元請企業も下請労働者の安全管理に関わり、適切な安全体制を整えることが求められます。

この考え方は二次・三次の下請企業にも及び、重層的な安全配慮義務の連携が重要です。

派遣労働者について

派遣労働者の安全配慮義務は、派遣元企業と派遣先企業の双方にそれぞれ役割分担があります。

派遣元企業は労働契約を結んでいるため、労働契約法第5条に基づく安全配慮義務を負います。一方で、派遣先企業も派遣労働者が実際に働く場所を管理し、作業指示や職場環境の整備を行うため、安全衛生に関する責任を負います。

特に派遣先は労働安全衛生法により、安全な作業場の維持や機械の点検、教育・指導を行い、派遣労働者の安全と健康を守る必要があります。

このため、派遣元と派遣先は連携して派遣労働者の安全管理体制を確立し、労災防止に努めなければなりません。

直接仮設工事とは、建物の建設作業そのものに直接関わる仮設設備や仮作業を指します。

施工の安全性や効率向上のために不可欠な工程であり、足場設置や養生、墨出しなどが代表的です。

例えば、足場は高所作業の安全な施工を可能とし、養生は工事中の損傷防止や環境保護に寄与します。

適切な直接仮設工事の計画と実施は、工事全体の事故防止、品質の向上、さらには工期短縮やコスト削減にも貢献するため、建設現場の成功にとって欠かせない基盤です。

安全配慮義務に対応するためのポイント

安全配慮義務を的確に果たすためには、心身の健康管理や適切な労務管理とともに、具体的な安全活動を現場で推進することが重要です。

ここでは、安全配慮義務に対応するためのポイントを解説します。

安全衛生管理体制の確立

安全衛生管理体制は、労働者の安全と健康を守るために、労働安全衛生法により企業に義務付けられている組織的な管理体制です。

安全衛生管理体制の整備や委員会の設置は、労働安全衛生法第10条に規定されています。

安全衛生管理体制の主な役割は以下のとおりです。

  • 危険や有害要因の調査・評価
  • 必要な安全対策の実行
  • 従業員への教育・訓練
  • 従業員の健康管理

企業は事業場ごとに「総括安全衛生管理者」を配置し、安全管理者や衛生管理者、産業医をそれぞれ選任する必要があります。

さらに、規模に応じて安全委員会や衛生委員会を設置し、労働災害防止や健康管理の計画立案、職場環境の改善を継続的に進めます。

出典元:e-Gov法令「労働安全衛生法第10条

ストレス管理とメンタルヘルスケアの実施

労働者の心身の健康を守るために、事業者はストレス管理とメンタルヘルスケアに積極的に取り組む必要があります。

具体的には、ストレスチェックの定期実施や相談窓口の設置、メンタルヘルスに関する教育・研修の実施などです。さらに、職場の人間関係の改善や過重労働の是正など環境整備も必要です。

専門スタッフや外部機関との連携を図り、相談しやすい体制づくりを進めることもポイントになります。

適切な労務管理

安全配慮義務を果たすためには適切な労務管理が必要です。

具体的には、労働時間の厳密な把握と管理、時間外労働・休日労働の適正な制限、そして休憩や休日の確保が重要です。これにより、過労や疲労蓄積による健康障害を防ぎます。

特に、労働基準法に基づく36協定の締結と遵守は法的要件であり、超過労働時間の上限規制を守ることが求められます。

また、労働者の健康状態を定期的にチェックし、必要に応じて産業医の面談等を実施することも含まれます。

36協定をわかりやすく解説!建設業における安全な労働環境づくりのポイント

KY活動の推進

KY活動(危険予知活動)とは、職場や現場で発生する可能性のある災害を未然に防ぐために事前に行う活動のことです。

「危険(K)」と「予知(Y)」の頭文字をとって「KY」と呼ばれています。

具体的には、作業を始める前にチーム全員で現場に潜む危険を洗い出し、発見された危険を共有して対策を検討します。

このプロセスは、以下に示す「基礎4ラウンド法」と呼ばれる方法が用いられるのが一般的です。

  1. 現状把握
  2. 本質追求
  3. 対策検討
  4. 行動確認

段階ごとに危険を細かく分析し、具体的な対策を立てます。

特にリスクの高い建設現場などは、KY活動が非常に重視されており、作業員の安全意識を高めるとともに、チームのコミュニケーション強化にも役立っています。

KY活動は単なる点検ではなく、日々の作業に安全意識を定着させるための重要な安全管理の手法です。

KYシートの作成

KYシートとは、KY活動で洗い出した危険とその対策を記録し、現場で共有するための書面または電子データのことです。

シートには、作業の内容、予測される潜在的な危険ポイント、具体的な安全対策、参加メンバーや日付などを記入します。

シートは現場の見える化ツールとして機能し、作業開始前の合意形成や安全意識の向上、そして後の振り返りや改善につなげることが可能です。

最近ではタブレットなどを活用したデジタル化も増え、作成・共有の効率化と履歴管理の精度向上に貢献しています。

KYシートの作成管理ならPhotoruction

KYシートの作成・管理を効率化するなら「Photoruction Build  」が最適です。

Photoruction Buildは建築・土木現場向けの施工管理アプリで、現場での写真や書類をクラウドで一元管理できます。工事写真の自動整理、電子黒板、台帳作成機能を備え、現場の安全管理を支援します。

KYシートの作成も直感的に行え、スマホやタブレットからリアルタイムで共有できるため、現場の安全意識向上と作業の効率化が可能です。

また、労務安全書類の作成・管理は「Photoruction Site」もおすすめです。

Photoruction Siteは、施工前の書類作成や管理、協力会社との調整業務を効率化し、プロジェクトごとの協力会社管理がツリー形式で可能です。アカウント登録不要でセキュアに利用できるため、複数の関係会社がスムーズに連携できます。

これらのサービスを活用することで、安全配慮義務の履行がより確実かつ効率的に進められます。

まとめ

安全配慮義務は、建設現場において事業者が作業員の生命や健康を守るために果たすべき法的責任です。

労働契約法第5条や労働安全衛生法に基づき、労働環境の改善や健康管理、危険の予見とその防止措置など広範囲な配慮が求められます。違反すると労働災害発生のみならず法的罰則や損害賠償責任を負います。

安全配慮義務は正社員から派遣労働者まで全ての労働者に及ぶため、現場全体での安全管理体制の強化が不可欠です。

現場の安全管理においては、Photoruction BuildやPhotoruction Siteがおすすめです。

記録の一元管理やリアルタイム共有が可能となり、安全配慮義務の履行が効率的に進みます。

これにより、事故防止効果や法令遵守の証拠保全が期待でき、安全な職場づくりを支援します。

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