施工管理技士とは?資格の種類や取得のメリットを紹介
最終更新日:2025/09/26
工事現場の基礎知識

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施工管理技士は、建築現場のプロジェクトを的確にまとめ上げ、品質・安全・工程・予算を管理する重要な役割を担います。
施工管理技士には、現場の施工計画の立案や監督、関係者との調整など、多岐にわたるスキルと知識が必要です。また、施工管理技士になるためには資格取得が必須で、分野ごとに複数の種類が用意されています。
この記事では、施工管理技士の国家資格としての意義や、分野別の資格種類、取得の流れ、メリットについてわかりやすく紹介します。
【目次】
施工管理技士と資格について

施工管理技士は、建築現場で品質・安全・工程・予算の管理を担う国家資格です。
ここでは、施工管理技士とその資格について解説します。
建築施工管理技士は国家資格
建築施工管理技士は、建築業法に基づく国家資格であり、建築工事現場の管理責任者となるために必要です。
資格取得には実務経験が求められ、学科・実地の試験に合格することが条件となります。
この資格を保有することで、施工管理に関する知識や技術が証明され、現場のリーダーや企業の信頼性向上につながります。
### 施工管理者と施工管理技士の違い
施工管理者は役割・職種の総称であるのに対し、施工管理技士はその役割をより高いレベルと責任で果たせる資格者という違いがあります。
施工管理者は、現場で施工管理をする実務担当者を指し、必ずしも資格保有者とは限りません。一方、施工管理技士は建築業法で定められた国家資格を保有し、主任技術者や監理技術者など法的責任や権限が付与される立場です。
大規模工事や公共事業では、施工管理技士の有資格者でなければ担えない場合もあります。
施工管理の仕事内容に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
新設された技士補について
施工管理技士補とは、2021年に建築業界の技術者不足を背景に新設された国家資格です。
1級および2級の施工管理技士の第一次検定に合格すると、申請を行うことで技士補の資格が付与されます
施工管理技士補は、独立した試験による資格ではなく、第一次検定の合格をもって与えられるものです。
1級と2級の違い
施工管理技士には1級と2級があり、以下のような違いがあります。
項目 | 1級施工管理技士 | 2級施工管理技士 |
---|---|---|
担当工事規模 | 制限なし。大規模かつ多種多様な工事を担当可能。 | 小規模〜中規模。工事種別は建築、解体・仕上げに限定。 |
役割範囲 | 主任技術者、専任技術者、監理技術者を務められる。 | 主任技術者、専任技術者を務められる。 |
管理可能な現場 | 工事規模に制限はなく、元請の管理技術者として活躍。 | 請負金額4,000万円未満の現場が中心。 |
1級は公共工事の大規模案件など幅広い工事で求められ、キャリアアップや給与面の待遇にもつながります。
一方、2級は主に小規模工事の現場管理に適しており、経験を積んでステップアップするケースが多いです。
施工管理技士の資格の種類

施工管理技士の資格には7種類あります。
資格の種類と概要について以下の表にまとめています。
資格の種類 | 概要 |
---|---|
建築施工管理技士 | 建築工事の品質・安全・工程・予算を管理。法令遵守や安全対策を徹底し、公共工事参入や大規模現場対応に強みを持つ。 |
土木施工管理技士 | 道路や橋梁、河川など土木工事の施工管理を担当。インフラの安全性や品質向上に貢献し、公共事業の受注条件にも含まれる。 |
電気工事施工管理技士 | 送電設備・照明工事など電気関連工事の施工計画と管理を実施。高度化する電気工事技術に対応し、安全と品質確保に寄与する。 |
管工事施工管理技士 | 空調・給排水・ガス配管など設備の配管工事を管理。工事全体の安全性と機能性を支え、効率的な施工と品質管理で現場を統括する。 |
造園施工管理技士 | 公園や庭園など造園工事の計画・施工管理を担う。環境保全と都市緑化の品質向上に貢献し、専門性の高い緑地管理技術者に求められる資格。 |
建設機械施工技士 | クレーンや油圧ショベル等の建設機械の操作・管理を専門に担当。工事の効率化や安全確保に不可欠な機械運用の専門技術者としての役割を果たす。 |
電気通信工事施工管理技士 | LAN配線や通信設備工事の施工管理を担当。通信インフラの信頼性向上と新技術に対応し、通信ネットワークの安全かつ円滑な運用に寄与する資格。 |
施工管理技士の資格は、それぞれの専門分野で現場の安全・品質・効率的な施工を支える重要な役割を果たしています。
これらの資格を取得することで、施工管理の専門技術と知識が証明され、建設業界でのキャリアアップやより高度な実務への挑戦が可能となります。
施工管理技士の資格取得の流れ

施工管理技士になるためには、第一次検定と第二次検定に合格し、資格申請手続きを行う必要があります。
ここでは、施工管理技士の資格取得の流れを解説します。
第一次検定(学科試験)を受験・合格
第一次検定は施工管理技士の受験で最初に行われる試験です。
試験は年1回実施され、択一式の形式で行われます。
試験では、施工管理に関する幅広い基礎知識が問われます。
- 建築業法
- 建築・土木の基礎知識
- 施工方法
- 安全管理
- 品質管理
- 工程管理
- 環境対応
合格者は、申請により施工管理技士補の資格を取得できます。
第二次検定(実地試験)を受験・合格
第二次検定は、第一次検定合格後に一定期間の施工管理実務経験を積んだ上で受験する実地試験です。
第二次検定は主に記述式で実施され、一部の分野では択一式の設問も含まれる場合があります。
試験では、施工管理に関する実践的な知識が問われます。
- 施工計画の作成
- 現場における実践的な安全管理
- 品質管理の具体的手法と対応
- 工程管理の実務的計画と調整
試験は年に1回の実施で、合格すると正式に施工管理技士として認定されます。
主任技術者や監理技術者として法的に工事現場に配置可能となります。
資格申請手続き
施工管理技士の第二次検定に合格後、正式な資格取得のために資格申請手続きを行います。
申請先は主に地方整備局などの管轄行政機関で、申請にあたっては以下が必要です。
- 合格通知書に同封された申請書
- 収入印紙
- 本人確認書類
申請書は記入漏れや誤記がないよう丁寧に記載し、不備があると処理が遅れるため注意しましょう。
申請方法は郵送または窓口で行い、申請から資格証の交付まで約1〜2か月かかります。
施工管理技士の資格を取得するメリット

建築業界において、施工管理技士の資格を取得するメリットは数多くあります。
ここでは、具体的なメリットについて解説します。
給与アップにつながる
施工管理技士の資格を取得すると、給与アップにつながりやすいメリットがあります。
建築業界では、有資格者に対して専門性と責任感が強く求められており、資格はそれらの能力を証明するものです。企業は資格取得者に対し、報酬や手当の増額、昇給、賞与の優遇をするケースが多く、全体の待遇向上に直結しやすくなります。
特に現場の責任者に配置されると、役職手当や管理職手当が付くこともあり、給与アップにつながります。
プロとして信頼性が高まる
施工管理技士のメリットは、専門的な知識と技術力が公的に証明され、業界内外からの信頼性が大きく向上することです。
資格はプロフェッショナルであることを証明し、現場での指導や意思決定において説得力が増すため、クライアントや同僚、上司からの評価も高まります。さらに、資格は安全管理や品質管理の分野での的確な対応能力を示す証拠となり、安心して任せられる技術者として認識されます。
このように、資格取得は単なるスキルの証明だけでなく、施工管理の現場での信頼構築や人間関係の円滑化にも関係する要素です。
専任の技術者になれる
施工管理技士のメリットは、建設現場に専任技術者として配置されることが可能になる点です。
専任技術者とは、一定規模以上の工事現場に常駐し、施工管理や安全管理、品質管理など専門的な技術指導や監督を行う責任者です。
資格を取得することによって、専任技術者の要件を満たすことができ、企業からの信頼も高まります。また、専任技術者として配置されることで、実践的な技術経験を積みやすく、専門性を高めることも可能です。
大規模工事や公共工事での配置も義務付けられているため、仕事の安定性にも直結します。
管理技術者や主任技術者になれる
施工管理技士のメリットは、法令に基づき管理技術者や主任技術者として、配置されることが可能になる点です。
これらの役職は工事の施工管理を担い、現場全体を統括する責任者として重要なポジションです。資格がなければ、これらの役割を担うことは法律上認められず、担当できる工事の範囲や規模にも制約が生じます。
したがって、専門知識や管理能力を証明し、現場のマネジメントリーダーとして活躍するためには欠かせない資格です。
資格取得によって建設現場で責任ある立場となり、信頼向上や公共工事の受注資格を得ることにもつながります。
キャリアアップがしやすい
施工管理技士のメリットは、建設業界でのキャリアアップに大きく寄与しやすい点です。
資格を持つことで専門的な知識や技術が証明され、より重要な役職や複雑なプロジェクトを任される機会が多くなります。管理技術者や主任技術者という法的資格者として現場の責任者になることでキャリアの幅が広がり、社内での評価向上や昇進につながります。
また、資格保有者は転職市場でも有利になり、好条件での採用や昇給が期待できるでしょう。
さらに、施工管理の分野は社会インフラ維持の重要性から、需要が安定していることも長期的に見るとメリットといえます。
経営事項審査で加算される
施工管理技士の資格は、建設業者の「経営事項審査(経審)」において評価点が加算されることもメリットです。
経営事項審査は公共工事の入札資格や受注資格に影響する制度で、施工管理技士の資格保有数が多いほど審査点が上がります。例えば、1級施工管理技士は5点、2級は2点程度の加点対象となり、これにより企業の技術力や管理能力が客観的に評価される仕組みです。
加点が多いほど企業の技術力や管理能力も高く評価され、より大規模かつ高額な公共工事案件の受注につながります。
これは企業の信頼性を高め、競争力を高めるうえでも重要な指標です。
施工管理技士を強力にサポートするPhotoruction

施工管理技士の資格を取得し、現場管理の責任者として活躍するには、多くの専門知識と高い実務能力が必要です。また、品質管理や安全管理、工程管理、予算管理など、多岐にわたる業務を的確に遂行しなければなりません。
そこで、効率的かつ正確な現場運営を支える強力な味方として注目されているのが『Photoruction(フォトラクション)』です。
Photoructionとは、建設現場の施工管理を効率化するクラウド型のデジタルツールです。
現場で撮影した工事写真や図面、工程表、書類などの膨大な情報を一元管理し、スマートフォンやタブレットからリアルタイムで関係者と共有できます。安全面や品質面の問題点を即座に把握し、対応策を検討できるため、施工ミスの低減や工程の円滑化に貢献します。
これにより、施工管理技士が求められる高度な管理能力をサポートし、現場運営の質向上と業務効率化を同時に叶えることが可能です。
まとめ
施工管理技士は、建設現場の品質・安全・工程・予算を適切に管理するための国家資格であり、工事の円滑な進行と安全確保に欠かせません。
1級・2級や専門分野ごとに資格が分かれており、第一次検定と第二次検定に合格することで、資格が付与されます。資格取得はキャリアアップや給与アップなど多くのメリットがあり、建設業界での信頼性向上に直結します。
また、施工管理技士の実務には専門知識や高い技術をはじめ、膨大な量の情報処理や調整が必要です。業務の効率化を図るためには、施工管理アプリの導入をおすすめします。
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