施工管理の仕事内容はどんなもの?仕事内容や資格を解説!
最終更新日:2025/05/28
工事現場の基礎知識

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施工管理とは、「工事現場の管理をする」ことです。
施工管理の仕事に対して何となくイメージがあっても、具体的な仕事内容については把握できていないという方もいらっしゃるかもしれません。施工管理を把握するうえでポイントになるのが、工程・安全・品質・原価の4大管理です。
それぞれ独立した分野のように見えるものの、実際にはすべてが連動しており、施工管理を遂行する人には専門的な知識やスキルが必要です。
この記事では、施工管理の4大管理や関連する資格などを紹介します。
【目次】
施工管理とは

施工管理(せこうかんり)とは、工事がスムーズに進むように現場全体の管理を行う仕事です。現場ではセコカンと呼ばれることもあり、主な目的は工事スケジュールの延期や予算オーバー、事故などを防ぐことです。
また、施工管理の業務は幅広く、現場管理だけでなく、施工計画の立案や検査書類の整理、デスクワークなども行う場合があります。施工管理は建設工事プロジェクトにおいて必要不可欠であり、効率的な進行を実現するために重要な役割です。
施工管理の仕事内容と4大管理

施工管理の仕事内容は、安全管理・品質管理・工程管理・原価管理の4大管理と呼ばれる仕事が中心となります。
ここでは、施工管理の仕事内容と4大管理について詳しく解説します。
安全管理
安全管理とは、建設現場において安全な作業環境を整えることです。
事故の発生を想定した安全対策をはじめ、季節、天候によるリスクを排除することが求められます。現場の安全が確保されていなければ、事故の発生リスクも高まるため、安全管理は事故を未然に防ぐためにも重要な業務です。
建設現場においては高所作業や建設機械を扱う業務も多く、安全管理が行われていなければ死亡事故につながる可能性もあります。
安全管理の具体的な業務として以下が挙げられます。
- 機材点検
- 工法の確認
- 作業員の健康チェック
- 現場パトロール
- 安全設備の整備
- 安全教育
- ヒヤリハット事例の共有
これらの業務を適切に行うことにより、作業員の安全を確保し、工事を円滑に進めることができます。
品質管理
品質管理とは、設計図や仕様書通りの品質を満たすために、工程ごとの品質や出来形を確認する仕事です。
建設物やインフラ設備などの成果物の品質を保つために欠かせない業務で、自治体が定める強度や耐震性、密度などの基準もチェックします。
品質管理においては、設計図通りに施工できているかや品質基準を満たしているかを確認し、証拠として写真で記録してから次の工程に移行します。
写真以外にも、現場を回って進捗確認や修正指示、寸法のチェックなどを行うことも品質管理の業務です。定められた品質を守ることは、顧客満足度の向上や会社の評判にもつながるでしょう。
工程管理
工程管理とは、工期までに建物を完成させるために、作業ごとの日程や全体のスケジュールを調整することです。
工程管理では、施工の順列などに基づき、工程ごとの作業日数を考慮して工程表を作成します。
工程表をもとに工程管理を行い、PDCAを繰り返すことで小さなズレを修正していきます。
具体的には、作成した工程表を基に工事を実施し、進捗に遅れが生じた場合は計画段階に戻って再度検討する流れです。
また、工程管理では、各工程に必要な資材、機材、人員などを事前に段取りし、実際の進捗に応じて計画の見直しも行います。建設現場の規模が大きくなるほど、小さなズレが大きなミスにつながるため、工程管理が重要になります。
工程表の作り方は、以下の記事でも詳しく解説しています。
⇒【建設業向け】工程表の作り方!手書きやデジタルツールのメリット・デメリットを解説
原価管理
原価管理とは、資材の発注や建設機械のレンタル料、人件費などを管理することです。建設工事ではあらかじめ予算が決められているため、経費を適切に管理しないと利益が出ず赤字になる可能性もあります。
予算超過を防止し、会社や関係者への損害を減らすためにも原価管理は重要な業務です。
原価管理では、収支と支出を帳簿管理したうえで原価を計算し、コスト削減が必要になった場合は具体的な数字を出して作業員に指示を行います。
根拠がないまま指示を出すと、施工管理の信頼を失う可能性があるため、根拠となる数字は必須です。また、原価管理によって効率的な工事計画を立てられるため、工期の遵守や作業員の安全確保など、他の管理にもつながります。
施工管理に求められる能力

施工管理は、工事を円滑に進めるために重要な業務を請け負うため、さまざまな能力が求められます。
ここでは、施工管理に求められる能力を解説します。
コミュニケーション能力
建設現場では幅広い年代・役職のスタッフがチームとして仕事を遂行するため、施工管理にはコミュニケーション能力も必要です。
例えば、施工管理では上司への相談や報告、部下への指示、外部への依頼なども必要となります。これらの立場の人々と適切なコミュニケーションが円滑に進まなければ、工期や安全性に問題が生じる可能性もあるでしょう。
また、工事の進捗遅れや近隣からのクレームなどのトラブルが発生した場合にも、コミュニケーション能力がなければ的確に対応できません。このように、コミュニケーション能力は施工管理において重要なスキルの一つといえます。
マネジメント能力
施工管理には、メンバーの能力を把握して発揮するためのマネジメント能力が必要です。現場の作業を迅速に伝え、目標や計画、進捗を管理するためのスキルで、優先順位を常に考えて的確な指示を出すことが求められます。
建設現場では限られた工期や予算の中で、品質と安全性を確保しつつ、仕事を進めるためには作業員に適切な指示を出さなければなりません。
工事全体を適切に管理・調整し、安全性や品質、工程、コストのバランスを取るためにもマネジメント能力が必要です。マネジメント能力が欠けていると労災事故につながったり、工期遅れが続出したりなど、さまざまなリスクが高まります。
危機管理能力
施工管理では、事故やトラブルが発生した際、迅速かつ冷静に対応するための危機管理能力が必要です。建設現場においては予期せぬ事態が起こるため、高い危機管理能力が欠かせません。
具体的には、安全を最優先し、潜在的なリスクを事前に察知して対策を講じる能力です。危機管理能力は過去の事故事例や他現場の安全対策等の情報を収集し、自分の現場に適用させることで身につけることができます。
常に最悪の事態を想定し、それを防ぐための対策を講じる習慣を身につけることが危機管理能力の習得につながるでしょう。
対応力
施工管理に求められる能力として対応力が挙げられます。
建設現場では「機材が足りない」「人員が不足している」など、予期せぬ事態が日常的に起こります。これらの問題に対して適切に対応できなければ、問題がさらに大きくなり、大幅な納期遅れにもつながるでしょう。
そのため、施工管理は建設現場で問題が発生した場合に、原因を正確に特定したうえで対策を考え、解決に導く必要があります。また、同じような問題を繰り返さないために予防対策を考えることも重要です。
体力と精神力
施工管理には、体力的にも精神的にも負荷が多い職種です。
施工管理はクライアントとの打ち合わせや現場の状況把握、安全管理など、幅広い業務を担います。多くの仕事をこなす必要があるため、これらに耐えうる体力が欠かせません。
また、施工管理は上司、部下、外部企業、クライアントの間に入り、それぞれの意見をまとめる役割もあります。時には理不尽な要求をされることもあるため、強い精神力も必要です。
施工管理に関連する資格

国家資格である施工管理技士には、専門分野に応じて7つの資格があります。
ここでは、施工管理に関連する7つの資格をそれぞれ解説します。
情建築施工管理技士
建築施工管理技士は、建築現場で監督を行えるようになる国家資格です。
建築業法で定められた施工管理技術検定の1級または2級に合格することが資格取得の条件となります。2級は一般的な住宅、1級であればあらゆる現場監督で指揮を執ることが可能です。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、土木工事現場に配置される主任技術者や管理技術者になるために必須の国家資格です。1級と2級の資格があり、1級は規模の大きな土木工事、2級は比較的規模の小さな土木工事の施工管理を行うことができます。
建築工事の施工管理を行う建設施工管理技士に対し、土木施工管理技士は土木工事の施工管理を行うのが違いです。
河川や道路、上下水道、港湾など、さまざまな土木建設の場で活躍することができます。
建設機械施工技士
建設機械施工技士は、建設業の現場で建設機械の専門家として活躍できる国家資格です。1級と2級の資格があり、1級は特定建設業と一般建設業の両方の現場、2級は一般建設業の現場に携わることができます。
また、建設機械施工技士で扱える機械は以下の6つです。
- ブルドーザー
- 油圧ショベル
- モータ・グレーダー
- ロード・ローダ
- アスファルト・フィニッシャ
- アースオーガ
2級は6つの種別のうち取得した種別の機器しか使えませんが、1級はすべての機器を使用できます。
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士は、冷暖房設備や空調設備、上下水道設備などの管工事に関する国家資格です。
1級と2級の資格があり、1級は特定建設業または一般建設業における専任技術者、主任技術者、管理技術者として認められます。2級は一般建設業の専任技術者、主任技術者になることが可能です。
管工事そのものは資格がなくても行えますが、管工事における工程管理や品質管理、安全管理などは資格が必要となります。
造園施工管理技士
造園施工管理技士とは、建設工事の中でも緑地や緑化に関する国家資格です。対象となる具体的な工事は、植栽、公園、庭園、街路樹、壁面、屋上緑化など植物に関する工事全般となります。
1級と2級の資格があり、1級は管理技術者としての立場で、施工管理者の指導や監督、下請負人の技術的な指導や監督などを行うことが可能です。2級は主任技術者の立場として、建設現場の施工計画書の作成や品質管理、工程管理などを行います。
電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士とは、建設工事の中でも電気工事に関する国家資格です。
電気工事の施工計画作成、工程・安全・品質の管理などを行い、電気工事の監督を行うことができる資格です。
資格には1級と2級があり、1級は特定建設業の営業所ごとに置くことが義務付けられている専任技術者、主任技術者、管理技術者になることができます。
2級は一般建設業の専任技術者または主任技術者になることができます。
電気通信工事施工管理技士
電気通信工事施工管理技士とは、電気通信工事の現場で施工計画や工程管理、安全管理、技術者の監督に関するスキルがあることを証明する国家資格です。
テレビやインターネット、電話といった情報通信に関わる設備の設置・移設・撤去を行うことができます。
他の施工管理技士と同様に、1級は特定建設業の営業所ごとに置く専任の技術者または管理技術者として認められます。また、2級は管理技術者にはなりませんが、一般建設業の専任技術者や主任技術者になることが可能です。
電気工事と似ていますが、電気工事は一般家庭や施設の電気設備に関する工事であることに対し、電気通信工事は情報設備に関する工事という点が異なります。
施工管理技士の受験について
ここでは、施工管理技士の受験資格や難易度、過去問などを紹介します。
施工管理技士 受験資格
施工管理技術検定の受験資格の見直しが令和6年度より行われています。
新しい施工管理技士の受験資格は以下の通りです。
<1級施工管理技士>
第一次検定 | 第二次検定 |
---|---|
19歳以上(受験年度末時点) | 1級第一次検定合格後、 ・実務経験5年以上 ・特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 ・管理技術者補佐としての実務経験1年以上 2級第二次検定合格後、 ・実務経験5年以上 ・特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上(1級第一次検定合格者に限る) |
<2級施工管理技士>
第一次検定 | 第二次検定 |
---|---|
17歳以上(受験年度末時点) | 2級第一次検定合格後、 実務経験3年以上(建設機械種目については2年以上) 1級第一次検定合格後、 実務経験1年以上 |
なお、令和6年度から令和10年度までの間、二次検定については旧受験資格と新受験資格の選択が可能です。
施工管理技士 難易度
施工管理技士の難易度について、建築施工管理技士の合格率に基づいて紹介します。
1級建築施工管理技士の合格率は以下の通りです。
第一次検定 | 第二次検定 | |
---|---|---|
2020年度 | 51.1% | 40.7% |
2021年度 | 36.0% | 52.4% |
2022年度 | 46.8% | 45.2% |
2023年度 | 41.6% | 45.5% |
2024年度 | 36.2% | 40.8% |
2級建築施工管理技士の合格率は以下となっています。
第一次検定 | 第二次検定 | |
---|---|---|
2020年度 | 前期:実施せず 後期:35.9% | 28.2% |
2021年度 | 前期:37.9% 後期:48.8% | 35.1% |
2022年度 | 前期:50.7% 後期:42.5% | 53.1% |
2023年度 | 前期:37.7% 後期:49.4% | 32.0% |
2024年度 | 前期:48.2% 後期:50.5% | 40.7% |
年によってバラツキはあるものの、1級建築施工管理技士の合格率は第一次検定、第二次検定ともに30%〜40%ほどです。2級建築施工管理技士の合格率は第一次検定で40%〜50%、第二次検定で30%〜40%です。
2級の方が合格率は低めですが、これは実務経験が少ない方が多いことが理由として挙げられます。
施工管理技士 過去問
施工管理技士の第一次検定は四肢択一(マークシート方式)、第二次検定は五肢択一(マークシート方式)と記述式です。
なお、令和6年度以降の試験問題について、第二次検定は自身の経験に基づかなければ回答できないように設問の見直しが行われています。施工管理技士の過去問は、一般財団法人建設業振興基金の公式サイトで確認できます。
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まとめ
施工管理は、建設工事が予定通り安全に終えられるように、工事全体を取りまとめるためにも重要な役割となります。
施工管理の仕事内容は、安全管理、品質管理、工程管理、原価管理の4大管理に分類されます。すべての管理項目は互いに深く関連しており、一つでも問題が発生すると、工事の品質そのものにも影響を及ぼしかねません。
そのため、施工管理を行うものは専門的な知識に加え、コミュニケーション能力や対応力、危機管理能力などさまざまな能力も必須です。また、施工管理は膨大な業務が発生するため、効率化するためにはアプリやシステムの導入をおすすめします。
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