工事写真台帳とは?作成手順や作業を効率化するポイントを解説
最終更新日:2025/02/21
工事現場の基礎知識

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建設現場における進捗管理や、品質保証の記録・証明に欠かせないのが「工事写真台帳」です。
工事写真台帳の作成において、「非効率的な作業を改善したい」と悩んでいる企業のご担当者様も多いのではないでしょうか。
この記事では、写真台帳の基本的な役割や作成手順を詳しく解説するとともに、効率化を図るためのポイントを紹介します。
【目次】
- 工事写真台帳とは
- 工事写真台帳が建設工事に与える効果
- 写真管理基準における工事写真のカテゴリー
- 工事写真の撮影と整理を効率化するポイント
- 工事写真台帳を作成する流れ
- 工事写真台帳の作成方法とメリット
- まとめ
工事写真台帳とは

工事写真台帳とは、建設現場で記録される工事写真を整理し、工事の進捗や品質を証明するために作成される重要な書類です。
現場で撮影された各種写真に対し、撮影日や撮影箇所、工事の種類などの情報を付加し、時系列に並べて一冊の台帳としてまとめます。
写真台帳は、施工の過程を明確に示し、工事後のトラブル防止や発注者への報告資料として活用されます。
近年ではデジタルツールを活用した写真台帳の電子化が進み、作業効率や管理の精度が飛躍的に向上しています。
自社の課題に応じて適切なデジタルツールを活用すれば、膨大な写真データの整理や検索を簡略化し、管理におけるさまざまな悩みを解決できるでしょう。
工事写真台帳が建設工事に与える効果

写真台帳は、工事の進捗・品質・工程管理を効率化します。さらに、トラブル防止や発注者への信頼向上にも役立ちます。
ここでは、写真台帳の適切な活用による効果を紹介します。
工程管理の効率化
デジタルツールを活用した写真台帳の作成および管理により、工程管理の効率化とコスト削減が実現します。
例えば、クラウド型サービス『Photoruction』の写真管理機能では、現場で撮影した写真が自動的に台帳に反映され、デスクワークが減少します。
さらに、写真の検索機能やフィルタリング機能を使えば、特定の工程に対応する写真を即座に抽出できるため、迅速な工程確認が可能です。
このような工程管理の効率化によって、建設現場全体の生産性向上につながります。
トラブル防止と記録の証拠化
工事写真台帳は、施工過程の詳細な記録を残すため、トラブルが発生した際に重要な証拠として活用できます。
例えば、建物の基礎部分で「施工不良があった」と後日指摘された場合でも、台帳に残された写真の提示により、適切な施工が行われたことを証明できます。
また、工事関係者間で認識のズレが生じた際にも写真を基に確認を行い、早期に解決可能です。
特に公共工事では、発注者からの詳細な報告が求められるため、写真台帳の存在が円滑な対応に役立ちます。
このように写真台帳を活用することで、トラブル防止と対応の迅速化を図れます。
発注者への信頼性向上
発注者は工事が計画通り進行しているか、品質に問題がないかを常に気にしています。
写真台帳を活用すれば、工事の進捗状況や各工程での品質を視覚的に分かりやすく伝えることが可能です。
例えば、大規模な商業施設の建設工事では、毎週の進捗報告に写真台帳を添付することで、発注者に対する透明性を高め、信頼を獲得できます。
また、クラウド上で写真台帳を共有できるツールであれば、複数の現場を同時に管理している場合でも遠隔から工事状況を確認できるため、報告業務が効率化します。
アーカイブ化によるノウハウ蓄積
写真台帳を適切に保存・管理することで、工事現場のノウハウを効果的に蓄積できます。
特に類似する工事を再び行う際には、過去の写真台帳を参照することで効率的な施工計画を立てられます。
例えば、同じ地域での道路舗装工事では、過去の地盤状態や使用した材料のデータを写真台帳から確認し、最適な施工方法を選択できます。
また、若手技術者の教育にも活用でき、写真を用いて視覚的に学習することで、スムーズな技術継承が可能です。
写真台帳のアーカイブ化は、会社全体の競争力を高める施策の一つとなるでしょう。
写真管理基準における工事写真のカテゴリー

国土交通省が定める「写真管理基準」において、工事写真は9つのカテゴリーに分類されています。
これらのカテゴリーは、工事の進捗や品質、安全対策を適切に証明し、発注者や監督者への報告資料として活用するために重要です。
カテゴリー | 概要 |
---|---|
着手前及び完成写真 | 工事の着手前と完成後の状態を記録した写真。既済部分や隣接する構造物も含む。 |
施工状況写真 | 工事の進捗状況や各工程ごとの施工内容を示す写真。主に工程ごとに記録する。 |
安全管理写真 | 工事現場での安全対策や保安施設の設置状況を記録した写真。 |
使用材料写真 | 工事で使用する材料を記録した写真。材料搬入時や施工中の状態を撮影する。 |
品質管理写真 | 工事中に行われた試験や測定の状況を記録し、品質を証明する写真。 |
出来形管理写真 | 出来形(施工後の形状や寸法)の測定結果を記録し、規定値と比較するための写真。 |
災害写真 | 工事中に発生した自然災害の状況を記録した写真。 |
事故写真 | 工事中に発生した事故の状況を記録した写真。 |
その他 | 公害対策、環境保全、補償に関連する工事写真。 |
工事写真の撮影と整理を効率化するポイント

写真台帳の効果を最大限に引き出すには、写真の撮影や整理方法を工夫し、効率化を図ることが求められます。
ここでは、写真台帳の作成時に注意すべき重要なポイントを解説します。
撮影計画を立てて抜け漏れを防止
工事の各工程において、「どのタイミングでどのような写真を撮影すべきか」をあらかじめ決めておきましょう。
計画的な撮影により、現場担当者や管理者の作業負担を軽減し、報告資料の作成をスムーズに進められます。
特に、基礎工事や配管工事などの重要なポイントでは、必要な写真をリストアップし、順序立てて記録することが求められます。
撮影内容を統一することで、発注者への報告資料の精度が向上し、信頼の獲得にもつながるでしょう。
寸法を記録して正確な情報を提供
施工図に沿って撮影対象の寸法を写真台帳で明確化することで、工事の進捗状況や施工精度を正確に記録できます。
例えば、基礎工事で鉄筋の配筋状態を記録する際、鉄筋の間隔や太さが分かるように正確な寸法を記載。これにより、発注者や第三者に施工内容を正確に伝えることができます。
寸法を明確にするためには、専用の計測器を活用し、写真上に寸法を視覚的に表示する工夫も効果的です。
このような工夫を行うことで、トラブル防止や品質管理の精度が向上します。
鮮明な写真で視認性を高める
写真台帳の効果を高めるためには、撮影した写真が鮮明であることが不可欠です。
ぼやけた写真や暗い写真では、工事内容が正確に伝わらず、台帳としての役割を果たせません。
撮影時には適切な照明を確保し、ブレを防ぐために三脚を使用するなどの対策が有効です。また、スマートフォンやデジタルカメラの設定を適切に調整し、高画質で撮影することも重要です。
特に、細かい部位を記録する際には、拡大しても鮮明さを保てるように高解像度の写真を撮影することが推奨されます。
撮影位置図で写真整理を効率化
工事写真台帳を活用する際、撮影位置図の併用によって写真の位置関係を明確化できます。
撮影位置図とは、工事現場の図面上に撮影した写真の位置をプロットし、どの箇所を撮影したかを示すものです。
写真整理が容易になるだけでなく、発注者や第三者に対して視覚的に分かりやすい報告が可能です。
複数の箇所で同時進行する工事では、撮影位置図を活用することにより、効率的な記録と管理が行えます。
電子小黒板を併用した記録
工事写真を撮影する際に電子小黒板を併用すれば、写真に撮影日時や工事内容を明確に記録できます。
例えば、電子小黒板には以下の情報を記載します。
- 工事名
- 撮影日時
- 施工箇所
- 施工業者名
- 立会者名
- 工種
- 目的
- 施工状況
- 天候
- 備考
これらの情報を電子小黒板に記載して撮影することで、写真を見ただけで詳細な情報を把握できるようになります。
電子小黒板の書き方や運用の効率化を知りたい方は、関連記事をご覧ください。
【関連記事】工事写真の黒板の書き方を徹底解説!劇的な業務効率化の方法を大公開
工事写真台帳を作成する流れ

写真台帳の作成は写真の用意から始まり、以下の流れで進行します。
- 写真の用意
- 表紙の作成
- アルバム形式での台帳作成
- 補足情報の追記
では、各工程における作業や重要ポイントを見ていきましょう。
①写真の用意
写真台帳作成の最初のステップは、工事の各段階で必要な写真を撮影・用意することです。
撮影前に写真管理計画を立て、どの工程で何を撮影するのか明確にしましょう。
例えば、基礎工事や配管工事では、施工前・施工中・施工後の写真を複数撮影しておくと、施工記録の精度が向上します。
また、黒板を使って工事名や撮影日、対象物を明記すること、スケールを利用して寸法を示すことも重要です。撮影漏れを防ぐため、重要箇所は複数枚撮影するのがベストです。
クラウド型の写真管理ツールを併用すれば、写真を現場から即時に共有し、整理を効率化できます。
②表紙の作成
写真台帳の表紙には、工事名や工期などの必要な情報を漏れなく記載しましょう。

基本的に記載する項目は以下の内容です。
- 工事名
- 工期
- 発注者名
- 作成日など
例えば、「〇〇道路改良工事」「2025年1月~3月」「〇〇市△△町□□番地」「施工責任者:山田太郎」といった情報を記入し、他の台帳との混同を防ぎます。
また、公共工事の台帳を作成する際には、発注者が指定するフォーマットに従いましょう。
表紙に固有情報を記載しておくと、複数現場における管理もしやすくなります。
③アルバム形式での台帳作成
撮影した写真は、アルバム形式で台帳にまとめましょう。
公共工事の場合は、国土交通省が策定した「写真管理基準」に沿い、着工前・施工中・施工後の順に施工箇所ごとに整理する必要があります。
例えば、道路工事では「路盤工事」「舗装工事」「仕上げ工事」といった工程ごとにまとめます。
写真は見開きで配置し、施工前後の状態を比較できるようにするのが理想的です。
一方、民間工事の場合は、発注者の要望に応じて自由に編集できます。Excelや専用の写真管理アプリを使えば、写真の自動整理やレイアウトが可能です。
確認する人の立場を考慮し、直感的に状況が理解できるよう工夫しましょう。
④補足情報の追記
最後に、写真だけではわかりにくい箇所に補足情報を追記します。
特に、電子小黒板がない場合や電子小黒板の文字が判別しづらい場合は、施工内容を補足するコメントを余白に記載しましょう。
具体例として、測点(位置)、設計寸法・実測寸法を併記し、「設計値100mmに対し実測98mm」といった詳細を記入すると、精度の高い記録となります。
また、工事の品質管理が求められる現場では、測定結果や試験結果を併記することで、発注者や第三者に対して信頼性の高い台帳を提供できます。
補足情報を加えることで、写真台帳が単なる写真集ではなく、工事内容を証明する重要な資料になります。
工事写真台帳の作成方法とメリット

写真台帳の作成方法には、Excelを使った自社オリジナル版、無料テンプレートやフリーソフトを活用する方法、専用アプリを使用する方法の3つがあります。
それぞれの特徴やメリットを以下で解説します。
Excel(自社オリジナル版)
Excelを使って自社独自の写真台帳を作る方法は、カスタマイズ性の高さが最大のメリットです。
- カスタマイズ性が高く、自由に設計可能
- 専用ソフトの導入コストを抑えられる
- 既存の社内ルールに適した台帳を作成できる
Excelなら自社の業務フローや管理基準に合わせてフォーマットを自由に設計でき、社内のルールに応じた台帳を作成できます。
例えば、公共工事における「写真管理基準」に沿ったフォーマットを作成し、表紙や撮影箇所ごとのページを簡単に追加・編集することが可能です。
また、Excelは多くの企業で導入済みのため、新たなツールを購入せずに運用を始められます。
ただし、データ量が増えると動作が遅くなるため、大量の写真を扱うときには適していません。
無料テンプレート(フリーソフト)
無料テンプレートやフリーソフトを利用した写真台帳作成は、手軽に始められる点が魅力です。
- 初期費用がかからず手軽に始められる
- 既存のテンプレートをそのまま活用できる
- 導入のハードルが低い
インターネット上には、公共工事向けや民間工事向けのテンプレートが多数公開されており、それらをダウンロードして簡単に台帳を作成可能です。
また、フリーソフトの中には、写真をドラッグ&ドロップするだけで自動的に台帳を生成してくれるものもあります。
初めて写真台帳を作成する場合や、コストをかけずに効率化を図りたい場合に適していますが、自社独自の仕様を実現できない可能性があります。
専用アプリ(システム)
工事・建設に関する専用アプリ(システム)を使った写真台帳の作成は、最も効率的で高機能な方法です。
- 自動化機能により作業時間を大幅に削減できる
- クラウドでの共有により現場とオフィス間の情報伝達がスムーズ
- 公共工事対応のフォーマットを自動生成できる
クラウドでのデータ管理・共有が可能なアプリなら、工事現場で撮影した写真を即座にアップロードし、台帳に自動反映できます。
例えば、『Photoruction』の書類作成機能(写真台帳作成)では、ワンクリックでの書類作成や写真の選択・追加・削除、属性情報の自動出力、自動並べ変えといった便利な機能を網羅しています。
これまでExcelで行なっていたテキスト入力や、書類作成の手間を削減することが可能です。
さらに、電子小黒板の情報を電子的に付加し、検索機能を使って特定の写真をすぐに見つけられます。
スマートフォンやタブレットを使って現場から直接操作できるため、作業効率が格段に向上するでしょう。
まとめ
株式会社フォトラクションでは、工事写真や図面、書類などを一元管理できる建設プラットフォーム『Photoruction』を提供しています。
スマホでの簡単な写真撮影やクラウドへのデータの自動保存、入力情報に基づいた写真の自動整理を行い、利便性の高い写真台帳を作成します。
さらに、図面や書類、検査などの多機能を連携し、現場のアナログ業務のデジタル化をトータルサポート。
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