ネットワーク工程表をわかりやすく解説!初心者必見のルールと作成ガイド

最終更新日:2025/03/11

建設テックの知恵袋 編集室

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サムネイル_ネットワーク工程表

建設プロジェクトや工事現場において、スケジュールとタスクの可視化、進捗のコントロールに適しているのが「ネットワーク工程表」です。

しかし、ネットワーク工程表が便利だと知ってはいても、専門用語や作成ルールなどを理解していなければ、現場での導入は難しいです。

そこで本記事では、ネットワーク工程表の基礎知識から具体的な作成手順まで網羅的に解説します。

【目次】

  1. ネットワーク工程表とは
  2. ネットワーク工程表の専門用語をわかりやすく解説
  3. ネットワーク工程表のメリット 
  4. ネットワーク工程表のデメリット
  5. ネットワーク工程表の基本的な作成ルール
  6. ネットワーク工程表の作成手順
  7. ネットワーク工程表を簡単に作成できる『Photoruction』
  8. まとめ

ネットワーク工程表とは

ネットワーク工程表とは、建設プロジェクトや工事の進行を管理するために、作業(タスク)同士の順序や依存関係を視覚的に示した図表です。

各作業を矢印(アクティビティ)で結び、作業の開始・完了地点(イベント)をノードとして表現します。これにより、どの作業が先に完了する必要があるかや、複数のタスクを同時進行できるかが一目で把握できます。

また、最も重要な経路である「クリティカルパス」を特定し、工期が遅延するリスクを予測・管理することも可能です。

ネットワーク工程表は、現場の進捗管理やリソース配分、スケジュール調整に大きく役立ちます。

ネットワーク工程表の専門用語をわかりやすく解説

ネットワーク工程表は、記号と用語を組み合わせ、プロジェクトの流れを視覚的に表現しています。

特に、「イベント」「アクティビティ」「クリティカルパス」などは重要な要素で、現場での進捗状況を効率的に管理することができます。

ネットワーク工程表を活用する際には、以下の要素を意識してプロジェクト全体を見渡してみましょう。

用語 記号 用語解説
イベント(結合点)・プロジェクト内の特定の時点を示すポイント
・主に作業の開始や完了を表す
・◯印で表現され、左から右に進むにつれて番号が大きくなる
アクティビティ(作業)・プロジェクト内の各タスクや作業を表す
・イベント同士を矢印で繋いで示し、矢印の上に作業名、下に所要日数を記載する
ダミー‐‐>・作業の順序に関する制約を示すための仮想的なタスク
・所要時間は0日で、点線で表現する。
最早開始時刻数字・アクティビティが最も早く開始できる時刻。
・タスクが依存する前の作業の進捗状況によって決定される
最早終了時刻数字・アクティビティが最も早く終了できる時刻。
・前のタスクが早期に終了した場合、この時刻が短縮される可能性あり
最遅開始時刻数字・アクティビティを遅くともこの時刻までに開始する必要がある時刻
最遅終了時刻数字・アクティビティを遅くともこの時刻までに終了する必要がある時刻
クリティカルパス数字・プロジェクト全体の中で最も重要な経路(作業ルート)
・クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体の工期も遅延する
トータルフロート数字・アクティビティが遅延しても、プロジェクト全体の工期に影響を与えない最大の余裕時間
フリーフロート数字・アクティビティが遅延しても、次に続くアクティビティに影響を与えない余裕時間

ネットワーク工程表のメリット

ネットワーク工程表1

ネットワーク工程表は、建設業の現場管理において、工事全体の見える化や効率化に大きく貢献します。

ここでは、導入することで得られる5つのメリットを解説します。

工事全体が直感的に把握できる

ネットワーク工程表は、全ての作業工程を視覚的に示すため、工事全体の流れやタスクの繋がりを誰でも把握しやすくなります。 

特に、工程の順番やタスクの優先順位が一目でわかることが特徴です。

これにより、プロジェクトマネージャーは的確な意思決定を行い、現場作業員は自分の役割をより理解して作業に集中できます。 

また、作業計画の共有がスムーズになり、全員が同じ進行状況を把握することで、現場全体の連携が強化されます。

タスク同士の関係が明確になる

建設現場の工事には、先に完了しなければならない作業や、同時進行できる作業など、複雑なタスク間の関係が存在します。

ネットワーク工程表の導入により、タスク間の依存関係が視覚化され、どの作業が他の作業に影響を与えるのかが明確になります。 

関連するタスクを円滑に進められ、手戻りや連携ミスといった時間的ロスを最小限に抑えることが可能です。

所要日数が見える化される

ネットワーク工程表では、各タスクに必要な日数を明確に設定できます。

これにより、工事全体のスケジュール管理が容易になり、適切な工期の算出が可能になります。

また、複数の作業を同時並行で進める際には、工事日数が最も長い「クリティカルパス」を重点管理し、効率的な進行が可能です。 

さらに、所要日数が具体化されるため、進捗状況をリアルタイムで確認・調整しやすくなり、工程管理におけるリスクマネジメントが強化されます。

工期短縮とコスト削減が実現する

ネットワーク工程表を活用して作業計画を最適化することで、タスクの無駄な待機時間や停滞時間を削減できます。

その結果、工期が短縮され、全体的なコスト削減にも繋がることが大きなメリットです。

例えば、作業員の人件費や建設機械のレンタル料などが節約できるため、プロジェクトの利益率が向上します。

また、周辺環境への影響が早期に収束することで、近隣住民への配慮という面でも利点があります。

進捗に合わせた柔軟な調整が可能

ネットワーク工程表では、タスクの進捗状況をリアルタイムで確認できるため、遅れが生じた場合も、必要に応じて工程を見直すことが容易です。 

例えば、天候悪化による作業中断が発生した場合、ネットワーク工程表を元に優先度の高い作業を別の順序に組み直すことができます。

これにより、現場状況に応じた柔軟な対応が可能となり、進行遅延リスクを最小限に抑えることができます。

ネットワーク工程表のデメリット

ネットワーク工程表2

ネットワーク工程表は、工事全体の進捗や依存関係を把握する上で有効ですが、いくつかのデメリットも存在します。

まず、ネットワーク工程表を正確に作成するには、プロジェクト内の全てのタスクを詳細に把握し、それぞれの依存関係や所要時間を明確にしなければなりません。

例えば、数百を超えるアクティビティが存在する大規模なプロジェクトの場合、全ての情報を整理して工程表に落とし込むには、多くの手間と時間がかかります

また、タスク同士の関係にミスがあると、全体の工程に影響を及ぼすため、慎重に作成することが大切です。

ネットワーク工程表の扱いに慣れていない作業員がいる場合、専門用語と使い方をまとめた資料の共有や、説明会の実施が求められます。

このように、ネットワーク工程表には作成の手間や現場での調整の難しさ、視覚的な複雑さといった課題がありますが、デジタルツールの活用で改善することも可能です。

ネットワーク工程表の基本的な作成ルール

ネットワーク工程表を作成する際には、誰もが見て理解できるように、いくつかの基本ルールを守ることが大切です。

ここでは、初めての方にもわかりやすく重要なポイントを解説します。

作業番号の記入

アクティビティ(作業の流れを示す矢印)の上に、作業番号(例:A、B、C、または1、2、3)を記載します。 

この番号はタスクを識別するために必要で、作業内容をスムーズに把握する助けとなります。

作業日数の記入

アクティビティの下には、作業にかかる日数(例:3日、5日など)を記載します。 

これにより、各作業にどれだけの時間が必要かが明確になり、全体スケジュールの計画が立てやすくなります。

作業の進行方向に従う

アクティビティは、作業の進む方向(左から右、または上から下など)に向けて描きます。

視覚的に進行が理解しやすくなり、関係者がスムーズに工程を確認できるようになります。

イベント番号を付ける

イベント(作業の開始や完了を示す点)には、進行するほど大きな番号(正の整数)を付けます。

番号を順番通りに付けることで、作業の流れが整理され、見落としを防ぐことができます。

作業の完了が次の工程の条件

次の作業は、前の作業(アクティビティ)が完了しないと進むことができません

このルールを守ることで、タスク同士の依存関係を正確に示し、進行遅れや計画ミスを防ぐことができます。

イベント間にアクティビティは1つまで

同じイベント間を結ぶアクティビティは1つまでとし、複数のアクティビティを同時に記入することはできません

これにより、工程表が複雑になりすぎるのを防ぎ、誤解を招かないシンプルな構成

ネットワーク工程表の作成手順

ここでは、ネットワーク工程表をスムーズに作成するための手順を詳しく解説します。

各ステップを確実に実施することで、進捗管理やリスク対応が円滑に進むようになります。

タスクの洗い出し

最初に、プロジェクト全体の作業内容を網羅的に洗い出します。

フェーズごとの工事の詳細を把握し、どのタスクが必要なのかを明確にしましょう。 

複数の協力会社や専門工事が関与する場合は、作業をカテゴリーごとに分類しながらタスクを拾い出すと、漏れを防ぐことができます。

この段階でのタスクの抜け漏れは、後々の工程全体のズレやトラブルに繋がるため、入念に確認することが重要です。

タスクの依存関係の明確化

全てのタスクを洗い出したら、次にそれぞれの依存関係を把握します。

どのタスクが完了して次の作業が始まるのか、または同時進行が可能な作業があるかを確認し、タスク間の関連性を整理しましょう。 

依存関係が明確になったら、ネットワーク工程表内でタスク同士をアクティビティ(→)で結びます。

同時進行の作業に関する制約を示す場合は、ダミー(点線)を使います。

このフェーズでは、タスク間の順序を正確に可視化することが可能です。

タスクの所要日数の算出と記載

次に、各タスクにかかる所要日数を算出し、アクティビティ(→)の下部に記載します。

このフェーズでは、作業の難易度や規模、他タスクとの依存関係などを考慮し、無理のない範囲で日数を設定することが重要です。 

複数の進行ルートがある場合、最長となる所要日数を基準にし、全体の工期を適切に計画します。

人員・機材配置の調整

タスクの内容と所要日数が明確になったら、適切な人員や機材を配置します。 

無理や無駄が生じないように、生産能力(人員や機材の処理能力)と負荷(必要な仕事量)のバランスを考慮することがポイントです。 

「山積み・山崩し」や「エキストラコスト」の手法を活用することで、作業の負荷を均等に配分し、効率的な進行を図ることができます。

適切な配置によって、工事の進捗が安定し、遅延リスクを低減することができます。

◾️山積み・山崩し

山積みとは、プロジェクト全体の作業負荷を期間ごとに積み上げ、どの期間に負荷が集中しているかを把握する手法です。

作業量を視覚化することで、生産能力を超過する期間や工程を特定し、無理・無駄を防ぐ準備が可能になります。

山崩しは、山積みで判明した過剰な負荷を、他の期間に分散させる調整手法です。

作業負荷が均等化され、限られた人員・機材で効率的に作業を進行できます。

これらの手法により、作業負荷を期間ごとに視覚化して過剰な負荷を他の期間へ分散させ、均等なスケジュール調整を行うことができます。

◾️エキストラコスト

エキストラコストとは、工期短縮を図る際に発生する追加コストのことです。

通常よりも早い特急作業(クラッシュタイム)を適用することで発生します。

1日短縮あたりのコストを算出し、最適な費用配分やスケジュール調整を行うことが可能です。

進捗状況に応じてフォローアップを行う

計画段階で綿密な工程表を作成しても、現場では天候不良や設計変更、資材不足など、さまざまな要因で遅延が発生することがあります。

そのため、進捗状況に応じて以下のフォローアップ(計画の修正作業)をしましょう。

  • タスクの所要日数の見直し
  • 新たなアクティビティの追加
  • 作業順序の変更

特に、クリティカルパス(遅延が許容されない経路)を早期に把握しておくことで、遅れに対する迅速な対応が可能になります。

ネットワーク工程表を簡単に作成できる『Photoruction』

ネットワーク工程表3

近年は、クラウドツールを使ったネットワーク工程表の作成・共有で建設現場の業務効率化を図るケースが増えています。

施工管理に関する多様な機能をオールインワンしたクラウドツール『Photoruction(フォトラクション)』では、視認性の高いネットワーク工程表を誰でも簡単に作成できる機能を搭載しています。

Photoructionの工程表機能
  • 罫線・文字・行・列での工程表作成
  • 線の種類や色の変更
  • 休日駆動や担当者の設定
  • 最新版のリアルタイム共有

初心者にも使いやすい設計になっており、作業の順番からクリティカルパスまでひと目で把握できるネットワーク工程表を簡単に作成できます。

他にも、工事写真や図面、タスク、プロジェクトなどの管理機能を網羅しているため、『Photoruction』ひとつで建設現場の業務効率化と生産性向上が実現します。

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まとめ

ネットワーク工程表は、工事全体におけるタスクや進捗状況の把握を容易にし、プロジェクトの円滑な管理を実現します。

工事現場で導入する際には、専門用語と図面の見方を関係者全員が認識しなければならないため、誰でもわかりやすいネットワーク工程表を作成・共有することが大切です。

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