【建設業向け】施工要領書とは?必要な理由や作成方法、施工計画書との違いを紹介

最終更新日:2025/05/16

建設テックの知恵袋 編集室

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サムネイル_施工要領書

工事を行う際には、さまざまな書類の作成や管理が必要になります。

施工要領書も工事の際に必要となる書類の一つで、協力会社が作成することが一般的な書類です。施工要領書は、元請会社と協力会社が連携して工事を進めるために欠かせません。

この記事では、建設業向けに施工要領書の概要や必要な理由、他の書類との違いなどをわかりやすく解説します。

【目次】

  1. 施工要領書とは
  2. 施工要領書と施工計画書や作業手順書の違い
  3. 施工要領書に記載する内容
  4. 施工要領書のポイント
  5. まとめ

施工要領書とは

施工要領書1

施工要領書とは、建設工事などの作業において使用される書類で、工事の品質維持や作業効率化のために重要な役割を果たします。

施工要領書には工事の手順や工程、必要な資材、注意点などが記載されており、元請会社が作成した施工計画書をもとに協力会社が作成する書類です。

工事をするにあたって、元請会社は施工計画書を作って、必要となる材料や施工内容などを取り決めなければなりません。しかし、施工計画書は元請会社の基準で作成されるため、実際に工事を担当する協力会社の基準と内容が異なる場合もあります。

そのため、協力会社は施工計画書をもとに、自社の機材や技術レベルに応じて施工要領書を作成し、作業手順や流れを具体化します。

施工要領書の重要性

施工要領書は、スムーズな作業進行と安全性を確保するために重要な書類です。

現場作業員だけでなく、監督や協力業者、発注者など、工事に関わるすべての人にとって共通の理解や認識を共有するためのツールとなります。施工要領書がなければ、現場での指示伝達にミスが生じることや作業手順が統一されない可能性もあるでしょう。

また、施工要領書には安全に関する注意点や規定なども記載されるため、事故やトラブルを防ぐ目的もあります。

施工要領書が必要になる工事

施工要領書は多くの工事で作成が推奨されており、提出が求められるケースが一般的です。

特に、大規模工事や公共工事、高度な技術や設備を必要とする工事、安全性が重要な現場では重要性が高まります。小規模な工事では作成が義務付けられていないケースもありますが、品質や安全面から作成するのが望ましいでしょう。

工事の規模や内容に応じて、適切な施工要領書を作成・管理することが現場のトラブル防止や高品質な施工の実現につながります。

施工要領書と施工計画書や作業手順書の違い

施工要領書2

施工要領書と似ている書類として、施工計画書や作業手順書があります。

ここでは、それぞれの書類と施工要領書の違いを解説します。

施工計画書との違い

施工計画書は元請会社が作成するのに対し、施工要領書は協力会社が作成するという違いがあります。施工計画書をもとに施工要領書を作成するため、書類の内容は似ているのが一般的です。

施工計画書は工事現場において用いられる計画書で、工事を安全で効率よく実施するために工事の開始前に作成します。形式や作成者についての決まりはないものの、基本的には実際の工事の内容を把握している元請会社が作成します。

元請会社と協力会社に相違が発生しないように、どちらの書類も正しい知識に基づいて作成することが重要です。

施工計画書については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

【建設業向け】施工計画書とは?作成の流れと建設DXを促進する方法

作業手順書との違い

施工要領書は協力会社が作成するのに対し、作業手順書は現場管理者や作業員が作成するという違いがあります。また、施工要領書が品質重視で記載されるのに対して、作業手順書は安全性を重視した内容というのも違いです。

作業手順書は、現場での作業方法や手順が細分化され、より具体的に記載されます。現場の作業員は、作業手順書を確認して工事を行うため、作業者が容易に理解して実行できるように図解や写真も多用するのも特徴です。

施工計画書と作業手順書は目的や内容が異なるため、それぞれを適切に活用することが求められます。

施工要領書に記載する内容

施工要領書3

施工要領書は、工事の概要や工程、使用する材料や機器、注意事項などを網羅的に記載します

施工要領書に記載する内容は工事の種類や規模によって異なりますが、一般的には以下の項目を含むケースが多いです。

施工要領書の内容詳細
工事概要・工事名
・工事場所
・発注者
・施工業者
・設計図面
・施工計画書
・現場組織図
工程表・各工程の開始日と終了日
・各工程の担当者
・各工程の作業内容
作業手順・各工程の作業手順
・作業に必要な工具
・作業に必要な設備
・作業中の注意事項
品質管理・品質管理の基準
・検査方法
・検査記録
安全対策・安全に関する注意事項
・保護具の使用方法
・トラブルや緊急時の対策
交通管理・工事現場周辺の交通規制
・工事現場周辺の安全対策
環境対策・環境保護への注意事項
・工事現場や事務所における環境整備
・廃棄物処理やリサイクルの方法

上記の内容を網羅することにより、現場作業員は施工要領書を参考に、効率的に安全な工事が行えるようになります。

施工要領書の作成手順

施工要領書4

施工要領書は、具体的にどのように作成したらよいのでしょうか。

ここでは、施工要領書を正しく作成するためにも作成手順や方法を詳しく解説します。

必要情報の確認

施工要領書を作成する前には、施工計画書と設計図をもとに、必要な情報を確認しましょう。

工事の現場や工期、手順、使用する機材などをチェックし、必要に応じて過去の施工実績や関連資料の収集も行います。これらの資料をもとに、施工要領書に記載すべき項目を明確にし、作成の準備を進めることが大切です。

現場確認

施工要領書を作成するにあたって、実際に現場確認をすることも必要となります。その理由は、書類から得られる情報だけでは把握できない状況や問題点などがあるためです。現場確認によって現場特有の地形や地盤、周辺環境、既存構造物、作業ペースの実態などを正確に把握できます。

さらには現場でしか気づくことができない危険箇所や作業上の制約、搬入経路の問題、近隣への影響などのリスクも発見できます。

現場の状況に適した安全対策や品質管理方法を盛り込むことにより、事故やトラブルを防止し、工事品質の向上につながるでしょう。

テンプレートを準備する

施工要領書を作成するにあたって、効率よく進めるためにもテンプレートを準備しておきましょう。

テンプレートには記載すべき項目が網羅されているため、最初から作成する手間を省くことができます。過去の事例や関連書類などを参考に、プロジェクトに合ったテンプレートを使用しましょう。

ただし、発注者からの指定があれば指定のテンプレートを使用する必要があります。テンプレートを用意する際は、最新のガイドラインや規制を確認したうえで、必要に応じて修正して使用しましょう。

施工要領書を作成する

施工計画書や設計図、現場確認から得られた情報をもとに、テンプレートに必要な事項を記入しましょう。施工要領書は現場の作業員がすぐに理解できるように、具体的な手順や注意点をわかりやすい言葉で記入することが大切です。

言葉で説明が難しい場所や視覚的に見た方が分かりやすい内容は、図や写真を活用することで視覚的に理解しやすくなります。

施工要領書のポイント

施工要領書5

施工要領書を作成する際は、記載内容や保管方法にも注意しましょう。

ここでは、施工要領書作成のポイントを紹介します。

作成時にチェックしておくべきこと

施工要領書を作成する際は、特に以下の内容がきちんと整理されているか確認しましょう。

  • 責任の所在
  • 安全管理
  • 工事の品質

責任の所在に関しては元請会社と協力会社が明確に記載されているかや、現場の責任者が誰であるかを確認します。責任の所在を明確化することで、トラブルが発生した場合にも迅速な対応が可能です。

安全管理においては、安全に作業するための具体的な行動や対策が記載されているか確認しましょう。緊急時の対応体制が整っているかどうかもあわせてチェックします。

工事の品質においては、使用する材料や工法、施工手順、検査方法など、品質確保のための具体的な内容が整理されているかを確認しましょう。

これらがしっかりと記載されていれば、トラブルの未然防止や発生時の迅速対応、工事品質の維持につながります。

施工要領書の提出期限

施工要領書の提出期限については法令で定められているわけではありませんが、発注者の指示や契約書に基づいて設定されることが一般的です。

施工要領書は工事の開始や施工に関わる内容となるため、工期に影響を与えないためにも提出期限を守ることが重要です。施工要領書は施工計画書や設計図をベースに作成するため、元請会社とも連絡を取り合いながら効率よく進める必要があります。

提出期限に遅れないためには、作成状況を工程表などで見える化し、進捗を把握できるように体制を整えておくと効果的です。施工管理システムを活用することで、スケジュール管理もしやすくなります。

施工要領書は電子化がおすすめ

施工要領書を適切に管理するためには、施工要領書を電子化し、システムベースで管理するのがおすすめです。

紙ベースだと保管スペースが必要になることや、書類の検索に時間を要します。また、紛失や破損のリスクもあり、作成した施工要領書が失われる可能性もあるため注意が必要です。修正や更新があった場合にも、どれが最新の情報かがわからなくなり、誤った情報のまま作業が進んでしまう可能性もあります。

その点、施工要領書を電子化すると書類の作成・修正・検索が容易になり、現場と事務所間、元請会社と協力会社の情報伝達もスムーズです。タブレットやスマホからもアクセスできるため、現場でもすぐに確認や編集できるメリットもあります。

クラウド型のシステムであればバックアップも自動で行うことができ、最新の施工要領書を全員が即時に共有することも可能です。

まとめ

施工要領書は、元請の施工計画書や設計図をもとに協力会社が作成する書類です。

現場での工事手順や注意点など工事に関する具体的な内容をまとめたもので、工事を円滑・安全に進めるために重要な書類となります。施工要領書は必要情報の確認⇒現場確認⇒テンプレートの準備⇒内容の記入という流れで作成を行います。

作成にあたっては、責任の所在・安全管理・工事の品質の3つを意識しつつ、必要な情報を漏らさずに正しく記入することが重要です。また、施工要領書の作成や管理は、施工管理クラウドシステムを使用すると効率化を図れます。

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