「ENR Future Tech」イベントレポート

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こんにちは。フォトラクション広報室の野﨑(@Photoruction_PR)です。

今回は2023年6月にサンフランシスコで開催された「ENR Future Tech」についてレポートします。
建設業で働く方や建設テックに興味のある方にとって、建設テックの世界的なトレンドを知る上で、「ENR Future Tech」はぴったりなイベントになっています。今年はPhotoructionもゴールドスポンサーとして本イベントに出展しました。日本の建設テック企業の出展は初めてのことです。
イベントは例年サンフランシスコで開催されるため、なかなか参加するのが難しい方が多いと思います。そういった方向けに、本記事で同イベントの一部を紹介させていただきます。

【目次】

  • ENR Future Techとは
  • 注目の建設テック企業とそのソリューション
    • Field AI ロボットの自律制御で現場を自動スキャン
    • Dusty Robotics 今最も注目される墨出しロボット
    • VITA Industrial 吊荷の旋回制御で、安全・効率的なクレーン作業を助ける
  • 終わりに

ENR Future Techとは

「ENR Future Tech」とは、Engineering News-Record(通称ENR:世界中の建設メディアの中でも最も権威が高いひとつ)が主催するイベントで、毎年世界から注目の建設テック企業や建設業などが集まり、新たな出会いをきっかけに様々な協業・事業連携など、建設テックに関する活発な議論が交わされます。

今年度は、2023年6月5日〜7日にかけてサンフランシスコで開催されました。

会場は、大体半分がカンファレンスで、もう半分が展示会といった構成です。また、「ENR Future Tech」の会期に合わせて、企業がスポンサーとなるネットワーキングパーティー等も盛んで、建設テックをキーワードに新たな出会いを獲得することもできます。

引用URL: https://www.enr.com/future-tech/

【ENR Future Tech開催概要】
開催日:2023年6月5日(月)~7日(水)
場所:Hilton San Francisco Union Square, 333 O’Farrell Street San Francisco, CA 94102
URL:https://www.enr.com/future-tech

今回のレポートでは、特に注目した3つの企業とそのソリューションをご紹介します。


注目の建設テック企業とそのソリューション

・Field AI ロボットの自律制御で現場を自動スキャン

壇上でプレゼンする同社の創業者であるDr. Ali (右)

「ENR Future Tech」のオープニングキーノートでデモンストレーションを行なったField AIは、現場内のロボットAI自立制御において、今最も期待の大きい会社の一つになっています。同社の技術は、フィールドマップなしでロボットを自律的に制御するものです。リアルタイムに現場内をスキャンし走行させるため、例えば障害物や水たまりなどを避けてルートを設計することにも長けていて、日々状況が変わる建設現場にぴったりの技術です。

当日もセッション中にボストンダイナミクスの歩行ロボット「SPOT」を走行させるデモもありました。

なぜ、Field AIが注目されるのかというと、イノベーションに積極的なゼネコンでは、現場内の進捗状況などを自動的に3Dスキャンし、データを工程管理や下請けへの支払い管理に活用しようという期待が大きくなっているからです。既にいくつかの現場の進捗情報をAIアルゴリズムによってデータ化するアプリケーションは出てきていますが、データをスキャンする手間もロボットを使って自動的に行おうということです。

企業URL: https://fieldai.com/

DUSTY ROBOTICS 今最も注目される墨出しロボット

墨出しロボットの代表とも言える企業です。既に米国の複数の現場にて採用されており、墨出しロボットの領域では最も期待が大きい企業の一つと言われています。

使い方はとてもシンプルで、BIMデータを専用アプリケーションにインストールして、現場で座標を合わせれば、後は全自動で墨出しをしてくれます。プリントするような仕様なので、線の他に文字を出力することもでき、現場の重要な情報をまとめて印刷可能です。

この動画は、DPRというアメリカの大手ゼネコンでの利用イメージとインタビューがまとまっていますので、ご興味ある方はご覧になると分かりやすいと思います。

なお、残念なことに今の所日本市場への展開はされていません。

企業URL:https://www.dustyrobotics.com/

VITA Industrial 吊荷の旋回制御で、安全・効率的なクレーン作業を助ける

画像:VITA Industrialから引用

VITAは、クレーン吊荷の旋回制御装置を開発する企業です。

現場で働かれている方はよくご存知かもしれませんが、特に超高層ビルなど縦に長い建物の工程の中で、クレーンなど揚重作業をどれだけ効率的に行うかはとても重要なポイントです。VITAが提供する旋回制御装置は、吊荷の動きをファンで制御することで、揚重作業を安全に、効率よく行うことが可能になります。

日本にも進出予定であるため、ご興味のある方は近々導入も可能になると思われます。

企業URL:https://www.vitaindustrial.co/


終わりに

以上、注目企業を紹介しました。

その他にも様々な建設テック企業が出展・参加していました。

今回紹介した3つの企業は、たまたまハードウェアとソフトウェアにまたがったソリューションでしたが、ソフトウェアのみのソリューションも多く出展していました。建築・土木の生産システムの革新を行うゼネコン担当者にとって、最先端のソリューションに出会える場だと思います。また、欧米の方はオープンマインドの方が多く、朝食や昼食の際に積極的に話しかけてくれて、米国の現場について教えてくれたり、仲良くなれれば現場の視察などにも対応してくれたりします。建築・土木の生産システム改革を行う企業にとっては、実りの多いイベントだと思います。

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