【建設業向け】工程表の作り方!手書きやデジタルツールのメリット・デメリットを解説
最終更新日:2025/02/21
工事現場の基礎知識

建設テックの知恵袋 編集室
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建設業のスケジュール管理を円滑化する工程表に関して、自社に最適な作り方を選びたい方も多いのではないでしょうか。
工程表を作成する際、手書きをはじめ、ExcelやWord、専門ツールなどを使った方法があります。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、自社の課題に応じて最適な手段を選ぶことが重要です。
この記事では、建設業で用いる工程表の作り方や、失敗しないためのポイントを初心者にもわかりやすく解説します。
【目次】
工程表とは

工程表とは、建設プロジェクトや工事現場において、作業内容とそのスケジュールを体系的に整理・管理するための計画表です。
主に、作業項目(何をするか)と時間軸(いつ行うか)を縦横の軸で構成し、工事全体の進行状況を見える化する役割を果たします。
これにより、各作業の順序や依存関係が明確になり、リソースの過不足やスケジュールのズレを事前に把握することが可能です。
工程表の作成・運用は、コスト削減や工期短縮、そして品質管理の強化に直結するため、建設業の成功には欠かせないものと言えます。
主要な工程表の種類

建設業に用いられる工程表の種類は、主に以下の5種類が挙げられます。
- バーチャート形式:横軸に日時、縦軸に作業項目を設定
- ガントチャート形式:横軸に進捗率、縦軸に作業項目を設定
- グラフ形式:縦軸に進捗、横軸に日時を設定
- 工程管理曲線:縦軸に進捗率(%)、横軸に日時を設定
- ネットワーク工程表:円と矢印を用いて、作業の順序と関連性を表現
バーチャート形式
バーチャート形式は、作業の開始から終了までを横棒で示す簡潔な工程表です。
縦軸に作業項目、横軸に時間を取り、視覚的に進捗を把握できます。
短期間や作業項目が少ない工事に最適で、全体の流れを素早く理解できる特徴があります。
ガントチャート形式
ガントチャート形式は、バーチャートに進捗率を加えた発展形です。
計画と実績のズレを視覚化し、作業の依存関係も表現できます。
主に、中規模から大規模工事や複数作業が並行するプロジェクトに有効で、詳細な進捗管理が可能です。
グラフ形式
グラフ形式は、工事の進捗状況を曲線や棒グラフで表現します。
縦軸に進捗率や作業量、横軸に時間を取り、全体の傾向を把握しやすいのが特徴です。
複数の作業や工程を比較しやすく、進捗の変化を視覚的に理解できます。
工程管理曲線
工程管理曲線は、工事全体の計画と実際の進捗状況の差を曲線で表現します。
縦軸に進捗率、横軸に時間を取り、計画線と実績線を比較します。
過去のデータとの比較により、進捗率の傾向を把握できるのが特徴です。
また、「出来高累計曲線」「バナナ曲線」「Sカーブ」とも呼ばれることもあります。
ネットワーク工程表
ネットワーク工程表は、作業の流れを図式化した工程表です。
作業開始や終了点などのイベントを円(◯)で、作業(アクティビティ)を矢印(→)で表現します。
これにより、作業間の先行・後続の関係性を明確にし、最も時間がかかる作業の経路を容易に識別できます。
これら5種類の工程表は、プロジェクトの規模や内容に応じて決めることが重要です。
工程表の作り方

建設業の施工管理では、手書き、Excel、Word、専用ツールという方法で工程表を作成できます。
これらの方法でどのように工程表を作るのか、具体的に説明します。
手書き
紙とペンさえあれば、自由な形式で作業内容とスケジュールを記載したシンプルな工程表を作成できます。
- 必要な物が紙とペンのみで、コストを抑えられる
- 複雑な操作を覚える必要がなく、誰でも簡単に作成できる
- 形式に縛られず、自由にデザインを調整できる
- 間違いがあると消す手間がかかり、やり直しが発生する
- スペースが限られているため、大規模なプロジェクトには向かない
- 物理的に現場に持参する必要があり、リアルタイムでの情報共有が困難
小規模なプロジェクトや急ぎの場面では便利ですが、大規模な現場ではデジタルツールとの併用が推奨されます。
Microsoft Excel(自社版)
Excelで自社オリジナルの工程表を作成する場合、シートに作業項目やスケジュールを入力し、セルの色分けや罫線で視覚的に工程を管理できます。
- プロジェクトの規模や内容に応じて自由にレイアウトを設計できる
- 一度作成したテンプレートを他のプロジェクトに再利用できる
- 作業日数や進捗率を関数で自動計算でき、効率的な管理が可能
- テンプレートをゼロから作成する場合、レイアウト設計に時間が必要
- プロジェクト規模が大きい場合、データが膨大になり管理が難しくなる
- クラウドに保存しない限り、リアルタイムでの情報共有が難しい
Excelは操作性がシンプルであり、多くの企業で導入されているツールのため、幅広いプロジェクトに対応可能です。
しかし、プロジェクトが複雑であり、更新や修正の頻度が高い場合には、専用ツールの導入を検討しなければなりません。
Microsoft Word(自社版)
WordもExcelと同様に、新規ファイルを開いて表を挿入し、作業項目やスケジュールを入力して工程を管理します。
- Wordの表機能は初心者でも簡単に扱えるため、特別なスキルが不要
- 表のスタイル、文字のフォントや色など、視覚的な調整が簡単にできる
- 工程表と補足説明書を一つの文書にまとめ、分かりやすい資料が作成できる
- 表の管理機能が限定的で、大量のデータや複雑なスケジュールに対応しにくい
- 計算機能やセルの自動調整がなく、変更時に手動で修正する必要がある
- 他のユーザーとリアルタイムでの共同編集や更新が難しい
Wordは簡単な工程表や、説明資料と一体化したスケジュール表の作成に向いています。
ただし、リアルタイムでの情報更新と共有が難く、対応可能なプロジェクトが限定されます。
Google スプレッドシート
Google スプレッドシートでも、Excelのような操作性と機能で工程表を作成可能です。
- 複数人で同時に編集でき、進捗状況をリアルタイムで共有できる
- Googleアカウントさえあれば、誰でも追加費用なしで利用できる
- データが自動でクラウドに保存されるため、デバイスを問わずアクセス可能
- Excelに比べて動作が遅くなる場合があり、大量のデータを扱うには不向き
- Excelのような高度な関数やカスタマイズには対応していない
- インターネット接続がないと作業が制限される
Google スプレッドシートは、迅速な情報共有とコラボレーションが必要なプロジェクトや、簡易的な工程表作成に適した方法です。
ただし、大量のデータを扱う大きなプロジェクトには向いておらず、専用ツールとの併用が求められます。
テンプレート(配布版)
あらかじめ必要な項目や情報、表が記載された工程表のテンプレートがインターネット上で配布されています。
テンプレートの形式は主にExcelやWordで、無料でダウンロードして活用することも可能です。
- フォーマットをゼロから作成する必要がなく、すぐに使用できる
- 初心者でも見やすく整理された工程表を作成できる
- テンプレートをベースに項目やデザインを調整できる
- テンプレートによっては自由なカスタマイズが難しい場合がある
- 汎用性が高い分、プロジェクトの個別要件に完全対応できない場合がある
- 自社に最適なテンプレートを探すのに時間がかかる
テンプレートは、初めて工程表を作成する際や、時間を節約したい場合に便利です。
ただし、選んだテンプレートが自社のプロジェクトに合わない場合は、部分的にカスタマイズする工夫が必要です。
工程管理ツール
工程管理ツールとは、作業スケジュールや進捗状況をデジタル上で効率的に管理するためのソフトウェアやアプリのことです。
- タスクの状況や変更内容が即座に反映され、チーム全体で共有できる
- ガントチャートやカレンダー形式で視覚的にスケジュールを把握できる
- 期限や進捗状況を通知する機能があり、作業漏れを防止できる
- 一部の工程管理ツールは有料プランの契約が必要になることも
- ITツールを操作するための最低限の知識が必要になる
- ツールによっては自社の業務フローに完全対応できないこともある
工程管理ツールは、複数人で行う大規模なプロジェクトや、リアルタイムでの情報共有が必要な場合に特に有効です。
導入する際は、自社に必要な機能があるかどうかや、操作性、サポートの充実度などに注目しましょう。
工程表作りで失敗しないためのポイント

工程表は、プロジェクトのスムーズな進行を支える重要なツールです。
計画段階でしっかりと工夫することで、トラブルや無駄を大幅に減らすことができます。
ここでは、失敗を防ぐための具体的なポイントを詳しく解説します。
経験値のある作成者の指定
工程表の作成は、現場経験や計画管理に精通した作業員や管理者に任せることが重要です。
経験値のある作成者は、過去のプロジェクトで蓄積したトラブルや課題への対応策を把握しており、現場特有のリスクを事前に予測できます。
作業間の「手戻り」や「作業の重複」を防ぐための調整が得意であれば、より実効性の高い工程表を作成可能です。
また、作成者が実際の現場に足を運び、リアルタイムで状況を確認しながら工程を作ることで、現場に即したスケジュールが立てられます。
施工手順の決定
工程表作成の初期段階では、全ての施工手順を具体的に細分化することが必要です。
まず、作業単位に分け、必要な資材や機械、設備のリストアップを行います。同時に、施工方法を明確にし、手順を論理的かつ具体的に整理しましょう。
例えば、コンクリート工事であれば「型枠設置→配筋作業→コンクリート打設→養生」という順序を作業項目として設定します。
また、それぞれの作業における注意点や必要な資格者がいる場合は、工程表内に注釈を記載し、計画の実現性を高めます。
これにより、各工程が具体的かつ計画的に進行できる状態を整えることが可能です。
各工程の施工期間の設定
施工期間の設定では、現場環境や工事の規模、難易度、リソース(人員・機材・資材)を全て考慮に入れます。
各工程に必要な期間を慎重に見積もることで、無理のないスケジュールを設定できます。
さらに、万が一のトラブルに備えて余裕を持たせるバッファ期間(予備日)を設けておくことが重要です。
例えば、天候による工事の遅延や、資材納期の遅れなどを想定して余裕を持たせます。
このような対策により、突発的な変更にも柔軟に対応でき、全体の工期を守ることが可能になります。
各工程の配分調整
全体の施工期間が確定した後は、各工程の配分を調整し、作業の効率化を図ります。
特に重要なのは、作業間の「リソース競合」を避けることです。
例えば、同じ作業員が複数の現場で同時に作業しなければならない状況を防ぐ必要があります。これを防ぐには、各作業の開始日と終了日を重ならないように調整し、全体の進捗を均等に配分することが求められます。
また、作業の進行状況に応じてスケジュールをリアルタイムで見直すことができるよう、工程表を常に更新する体制を整えることが大切です。
そのような課題をクリアするためにも、クラウドベースの工程表ツールを併用することも効果的です。
情報の視認性向上
工程表は、関係者全員が瞬時に理解できるレイアウトで作成する必要があります。
情報の視認性を高めるために、作業項目ごとに色分けを行う、文字のフォントやサイズを統一する、適切な余白を設けるといった工夫を取り入れましょう。
例えば、重要な工程には目立つ色を使用し、優先順位を一目で判断できるようにすることが有効です。
また、作業項目が増える場合には、カテゴリごとにグループ化することで、視覚的な整理が進みます。
専門用語を使いすぎない
工程表は、現場作業員から管理者まで、幅広い立場の人が使用するものです。
そのため、誰もが理解できるよう専門用語を極力控え、簡潔で分かりやすい表現を心がける必要があります。
例えば、「RC打設」と書くのではなく、「鉄筋コンクリートの打設」と明記することで、専門知識のない関係者でも内容を正確に把握できます。
また、どうしても専門用語を使用する場合には、工程表内に用語の解説や注釈を追加すると良いでしょう。
このように、情報を誰でもわかりやすく伝えることで、全員の認識が統一され、スムーズな作業が実現します。
工程表ツールで効率的な作成と管理を実現

建設業のDX化において、効率的なスケジュール管理と作業の見える化に工程表ツールは欠かせないものとなっています。
例えば、建設業の施工や現場リソースに関する情報の一元管理を支援する『Photoruction』には、以下の工程表作成・管理機能が備わっています。
- 文字・行・列・罫線の追加機能
- 工程線の書き込み、移動、変形などの直感的な操作(PC版)
- いつでも最新版の工程表が確認できるリアルタイム共有機能
- 作業の順番やクリティカルパスを把握できるネットワーク工程表の作成
これらの機能により、プロジェクトの進捗状況を即座に把握できるようにし、現場間、関係者間での情報伝達を強化します。
紙ベースやExcel、Word、Google スプレッドシートで対応できない大規模なプロジェクトにも、Photoructionはおすすめのツールです。
まとめ
工程表は、建設業のスムーズな現場運営を支える重要なツールです。
具体的な作成方法として、手書き、Excel、Word、Google スプレッドシート、専用ツールがあります。
その中でも、クラウド型の工程表ツールを活用すれば、リアルタイムでの情報共有や効率的な進捗管理が可能になります。
『Photoruction』は、建設業の生産性と品質向上を支援するクラウド型のプラットフォームです。
誰でも簡単に作れる視認性の高い工程表機能を提供しており、クラウドを通じたリアルタイムでの情報共有を実現します。
さらに、工事写真や図面などの情報も一つのシステムで一元管理できるため、建設業務の効率性が大幅に向上します。
工程表ツールに留まらず、充実した施工管理やリソース管理をお求めの方は、ぜひPhotoructionの無料資料をダウンロードしてみてください。