安全衛生管理計画書とは?書き方から効率化のコツまで徹底解説
最終更新日:2026/02/19
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安全衛生管理計画書とは、建設現場での労働災害を未然に防ぐため、安全管理の方針や体制、具体的な実施事項をまとめた計画書のことです。
現場の安全運営を支える重要な書類ですが、「作成に多大な工数がかかる」「運用が形骸化しやすい」といった課題も少なくありません。
この記事では、計画書の基本から具体的な書き方、作成手順までを詳しく解説します。
さらに、運用時に負担となる労務安全書類の管理を効率化する最新ツールもあわせてご紹介します。
【目次】
- 安全衛生管理計画書とは?
- 安全衛生管理計画書の書き方と構成
- 安全衛生管理計画書の作成手順
- 安全管理の実効性を高めるための課題
- 労務安全書類の管理を効率化する『PhotoructionSite』
- まとめ
安全衛生管理計画書とは?

安全衛生管理計画書とは、現場で働くすべての人の安全を確保するために、その工事で実施すべき安全対策を具体的にまとめた書類です。
ここでは、計画書の基本的な定義や作成する目的、現場の規模によるルールの違いについて解説します。
計画書の定義
安全衛生管理計画書は、労働安全衛生法などに基づく安全衛生管理の一環として、建設現場での労働災害を防止するための具体的な実行計画を明文化した書類です。
元請け業者が作成の主体となり、工事の着工から完了までの期間において、「いつ、誰が、どのような安全活動を行うのか」という運用ルールを定めます。
単に安全スローガンを掲げるだけでなく、現場の組織体制や点検の頻度、安全教育の実施スケジュールなどを具体的に記載するのが特徴です。
現場の安全の基本方針を明確にし、すべての作業員が共通のルールのもとで安全に作業を進めるためのガイドラインとしての役割を果たします。
計画書の目的
安全衛生管理計画書を作成する目的は、現場に関わるすべての人の命と健康を守ることにあります。
建設現場には常に墜落や転落、重機との接触といった危険が潜んでいますが、組織的な安全管理体制を構築し、事故を未然に防ぐために計画書が必要となります。
具体的には、以下の3つの目的を達成するために作成します。
- 労働災害の未然防止:事前に現場のリスクを特定し、その対策を具体的な手順として計画に盛り込むことで事故を未然に防ぐ。
- 安全意識の統一と共有:元請けから協力会社の作業員にいたるまで、現場全体の安全方針やルールを共通認識として浸透させる。
- 法的責任の遂行とエビデンスの確保:労働安全衛生法などの法令を遵守し、万が一の際にも適切な安全管理を行っていたことを証明する根拠資料となる。
このように、安全衛生管理計画書は単なる事務書類ではなく、現場の安全レベルを保ち、円滑な施工を実現するために不可欠な指針となります。
労働者数に応じた管理区分の違い
安全衛生管理計画書を作成する際は、現場の労働者数や工事内容によって、法令上求められる管理体制が変わる点に注意が必要です。
主な区分は以下の通りです。
| 現場規模(労働者数) | 選任が必要な役職・義務 |
| 常時50人以上 | 統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者の選任が必要。大規模現場として、より強固な統括管理が求められます。 |
| 常時10人以上50人未満 | 安全衛生責任者の選任が必要。元請けとの連絡調整を担う責任者を明確にします。 |
このように、現場の規模が大きくなるほど責任者の配置や役割が細かく規定されています。
計画書には、自社の現場がどの区分に該当し、誰が責任者として指揮を執るのかを正確に記載しなければなりません。
安全衛生管理計画書の書き方と構成

安全衛生管理計画書には、現場全体の安全意識を高めるための方針から、日常的な活動スケジュールまでを具体的に記載します。
ここでは、計画書に盛り込むべき主要な構成要素と、それぞれの書き方のポイントについて詳しく解説します。
安全衛生方針と安全目標
安全衛生方針で目指すべき方向性を示し、安全目標で具体的なゴールを設定することで、現場全体のベクトルを合わせることができます。
以下は、方針と目標の具体的な記載例です。
| 項目 | 具体的な例 |
|---|---|
| 安全衛生方針の例 | 作業員全員が笑顔で帰宅できる現場づくり基本ルールの徹底による墜落・転落災害の撲滅 |
| 安全目標の例 | 全工期無災害の達成4S(整理・整頓・清掃・清潔)の徹底新規入場者教育の受講率100% |
このように、抽象的な方針だけでなく、誰もが達成度を判断できる具体的な目標をセットで掲げることが重要です。
目標が明確になることで、現場全体の安全意識が同じ方向に向かいやすくなります。
現場の安全管理体制
現場の安全管理体制とは、「誰が・どのような責任を持って」安全管理を行うのかを明確にするための組織図や役割分担のことです。
役割を明文化し、責任の所在をはっきりさせることで、日常的な指示はもちろん、緊急時の連絡体制や判断の遅れを防ぎます。
具体的に記載すべき主な役割は以下の通りです。
- 統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者:現場全体の安全を統括する元請け側の責任者。
- 安全衛生責任者・職長:各協力会社のリーダーとして現場との連絡調整を行う担当者。
- 専門責任者:火気使用責任者、足場の組立て等作業主任者、クレーン作業指揮者など。
現場に関わる全員が自分自身の役割と、誰に報告・相談すべきかを正しく認識できる体制を整えることが重要です。
実施事項とスケジュール
安全管理を計画倒れにさせないためには、「いつ・何を行うか」という活動内容を時間軸に落とし込むことが不可欠です。
工事の進捗に合わせて安全活動を習慣化できるよう、日次・週次・月次のサイクルに分けて整理します。
以下は、主な実施事項のサイクル例です。
- 日次:TBM、作業前点検、安全巡回。
- 週次:安全協議会、一斉清掃、資機材の重点点検。
- 月次:災害防止協議会、店社パトロール、特別教育や安全訓練の実施。
これらを工程表と照らし合わせながらスケジュール化することで、繁忙期であっても安全活動が疎かになるのを防ぎ、事故防止へと繋げることができます。
良い計画書・悪い計画書の違い
良い計画書と悪い計画書の違いは、その内容が目の前の現場の実態に即しているかという点にあります。
良い計画書は、現場特有の立地条件や工法、季節要因などのリスクが具体的に反映されており、誰がいつ何を点検すべきかが一目でわかる実効性の高いものです。
一方で悪い計画書は、過去の書類をそのまま転記しただけで、現場にない設備の対策が並ぶなど実態と離れています。
形を整えるだけの事務作業にせず、現場のルールとして機能させることが、安全管理に繋がります。
安全衛生管理計画書の作成手順

安全衛生管理計画書は、現場の特性を正しく把握し、PDCAサイクルを回すことを前提に作成する必要があります。
ここでは、実効性の高い計画書を作成するための具体的な3つのステップについて解説します。
【STEP1】現場条件の確認とリスクの洗い出し
まずは立地条件、工法、使用機械、工期といった情報を整理し、どこにどのような危険が潜んでいるかを抽出します。
特に、過去に類似した工事で発生した災害事例や、ヒヤリハット事例を確認することは有効です。これらの情報を基にリスクアセスメントを実施し、優先的に対策を講じるべきリスクを特定します。
この段階で現場の生の情報をどれだけ細かく収集できるかが重要で、単なる書類に終わらせず、役立つ計画書を作るための鍵となります。
【STEP2】計画書の作成
洗い出したリスクに基づき、具体的な対策を書類に落とし込みます。
「誰が・いつ・何を」行うかという5W1Hを明確にすることが作成のポイントです。
安全方針や目標の設定、組織図、点検表などを整備していきますが、ここで注意すべきは実現不可能なルールにしないことです。
現場の作業員が無理なく継続できる活動内容を記載し、必要に応じて図面や写真を用いて視覚的に理解しやすい工夫を凝らします。
単に書類上の形式を整えるのではなく、現場の誰もが理解し、実行できる内容にすることが重要です。
なお、安全衛生管理計画書に決まった様式はありませんが、各都道府県の労働局や安全衛生マネジメント協会のホームページから安全衛生管理計画書のテンプレートをダウンロードできます。
【STEP3】計画の実行・評価・改善
計画書は作成して終わりではなく、現場で実際に運用し、状況に合わせて見直していくPDCAサイクルを回すことが不可欠です。
まず、作成した計画に基づき日々の安全活動を実行します。
そのうえで、定期的な安全パトロールや協議会を通じて、決めたルールが守られているか、あるいは対策が有効に機能しているかを客観的に評価します。
もし計画通りに進んでいない場合や、工法の変更などで新たなリスクが生じた場合には、速やかに計画を修正し、改善策を講じなければなりません。
特に年末年始などの長期休暇前後や、工期の遅れによる焦りが生じやすい時期は注意が必要です。
安全管理の実効性を高めるための課題

安全管理を徹底しようとすればするほど、現場では多くの事務作業や調整事項が増え、本来もっと時間を割くべき安全管理に集中できなくなるという矛盾が起こります。
ここでは、実効性を高める上で問題となりやすい、現場のリアルな課題について解説します。
計画実行に伴う膨大な労務安全書類の事務負担
安全管理計画を実行に移す段階で、まず直面するのが膨大な労務安全書類の作成と管理です。
現場監督が管理すべき書類は、主に以下のような多岐にわたるものが挙げられます。
- 作業員名簿や資格証、社会保険加入証明の確認
- 再下請負通知書の作成・整理
- 日々の点検表やKY活動記録
これらをすべて紙で運用している場合、現場監督は日中の大半を作業指示や安全確認に費やした後、事務作業のために残業を強いられる可能性もあります。
書類を揃えること自体が目的となってしまい、現場の安全確認に割くエネルギーが削られてしまう状況をどう解消するかが課題です。
協力会社との煩雑なやり取りと確認作業のタイムロス
安全管理は元請けだけでなく、協力会社との連携が不可欠ですが、そのやり取りがアナログであるほど大きなタイムロスを生みます。
情報の伝達や確認作業において、現場では主に以下のような課題を抱えています。
- 書類の不備による差し戻し:提出された名簿や資格証の不備、期限切れの確認に手間取り、何度も修正を依頼する。
- 情報の分断と管理の属人化:電話、FAX、メール、LINEなどが混在し、最新の安全指示が全員に届いているかの確認が難しい。
- 対面・アナログ作業の限界:書類原本の確認や押印のために、現場事務所に足を運んでもらう手間が発生する
こうしたやり取りの煩雑さは、本来の業務である安全指導や現場管理の時間を奪うだけでなく、情報共有の漏れによる事故のリスクも高めます。
いかに正確かつスピーディーに協力会社と連携できるかが、現場全体の生産性を左右します。
労務安全書類の管理を効率化する『PhotoructionSite』
現場監督を悩ませる膨大な書類事務と協力会社とのやり取りの課題を解決するのが、労務安全書類の作成・管理をクラウド上で完結させる『PhotoructionSite(フォトラクションサイト)』です。
施工前に必要なデータを一元管理することで、書類作成から調整業務までの手間を劇的に効率化します。
具体的には、以下のような導入メリットがあります。
| 特徴 | 内容とメリット |
|---|---|
| 調整コスト削減 | 協力会社はアカウント登録不要で利用可能。1次請け企業も使いやすい設計で、会社間を跨ぐ書類回収のタイムロスを削減します。 |
| DBの自動構築 | 書類を作成するだけで現場リソースを自動でデータベース化。工数をかけずに資産を構築できます。 |
| 情報の再利用 | 一度登録したマスターデータは別現場でも活用可能。現場が変わるたびに同じ情報を入力する二重手間のストレスを解消します。 |
| 経営の見える化 | 現場ごとのリソース状況をリアルタイムに一元管理。プロジェクトごとの稼働状況や安全基準の遵守状況を経営判断に即活用できます。 |
事務作業や調整業務の効率化は、単なる労働時間の短縮に留まりません。
これまで書類作成に費やしていた人的コストを、本来最も重要であるはずの現場の安全巡回や作業員への直接指導に充てることが可能になります。
また、情報の透明性を高め、誰もが正確な最新データにアクセスできる環境を整えることは、人的ミスの削減や安全意識の向上にも直結します。
まとめ
安全衛生管理計画書を作るだけで終わらせず、その実効性を高めるには、現場監督が事務作業から解放され「本来の安全管理」に集中できる環境作りが不可欠です。
そこで役立つのが、労務安全書類の管理を効率化する『PhotoructionSite(フォトラクションサイト)』です。
協力会社との調整や書類業務をデジタルで一元化することで、浮いた時間を現場の巡回や指導へと充てることが可能になります。
デジタル化によって、安全衛生管理計画書に基づいた対策を現場に浸透させ、全体の安全レベルを底上げしましょう。