BIMとは?3D CADやCIMとの違い、メリット、導入条件まで徹底解説

最終更新日:2025/07/10

建設テックの知恵袋 編集室

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建設業界では、3次元モデルを活用したBIMへの移行が進んでいます。

BIMの導入により、設計エラーの削減やプロジェクト管理の効率化など、さまざまな効果が期待されます。一方で、「BIMって何?」「3D CADやCIMとどう違うの?」など、疑問に感じることもあるでしょう。

この記事では、BIMの概要と3D CADやCIMとの違い、導入メリットなどを紹介します。

【目次】

  1. BIMとは
  2. BIMの機能と導入メリット
  3. BIMの導入で必要なもの
  4. まとめ

BIMとは

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BIMとは、コンピューター上に作成した3次元の形状情報に加え、建築物の属性情報を統合した建築情報モデルを構築するシステムです。

ここでは、BIMの概要と他のソフトウェアとの違いを解説します。

BIMの概要

BIM(Building Information Modeling)は、Buildingという言葉が示すように、建築物を設計するためのソフトです。コンピューター上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積・資材・部材・工程管理・建築物の属性情報などを併せ持つことが特徴です。

従来の2次元図面では表現しきれなかった空間や構造、設備の情報も、BIMなら3Dモデルを通じて見える化できます。また、単なる形状の情報だけでなく、建物のライフサイクル全体にわたる詳細なデータベースとして機能します。

BIMは国が推進しているシステム

BIMは国が推進しているシステムです。

実際に国土交通省は「建築BIM推進会議」を設置し、官民が一体となってBIMの活用を推進しています。BIMを推進している理由は、建設業界が直面している深刻な課題を解決し、業界全体の生産性向上を図るためです。

建設業界では、労働力不足や高齢化、若年層の減少など、さまざまな問題を抱えている現状があります。

従来のやり方のままだと将来的に業界の存続や発展が危ぶまれる可能性があるため、業務効率化のためにBIMなどのデジタル技術の導入が不可欠とされています。

3D CADとの違い

BIMと3D CADとの違いは、建物に関する情報を統合して管理できるかどうかです。

3D CADは、コンピューターを用いて3次元のオブジェクトやモデルを設計するソフトウェアです。形状や寸法の表現には優れているものの、BIMのように設計から施工、維持管理までの多様な情報を一つのモデルで管理することはできません。

また、3D CADを含む一般的なCADソフトウェアは、線や面を組み合わせてモデルを作成し、単純な線や面として扱います。一方のBIMはその線や面を柱や梁などの建築要素とし、それぞれに細かな属性情報を付与できます。

BIMも3D CADも、基本的には設計図面を作成する際のツールですが、BIMは施工やメンテナンス、資材管理としての利用も可能です。

CIMとの違い

BIMとCIMの主な違いは対象とする場所です。

CIM(Construction Information Modeling/Management)は、土木インフラ(橋梁・トンネル・ダムなど)の3Dモデルを用いた情報管理手法です。そのため、一般的にはBIMが建築分野で使用されるのに対して、CIMは土木分野で活用されるのが大きな違いです。

BIMを参考に考案されたこともあり、BIMと同様に設計図面の作成や施工、維持管理に利用されます。

なお、BIMの対象である建築物では必要となるのは主に建物に関する情報ですが、CIMの場合は構造物に加えて、周辺の地形や地質など地理的条件も必要です。そのため、モデリング情報の種類も異なっています。

BIMの機能と導入メリット

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BIMには、業務効率化や情報共有のしやすさなどさまざまなメリットがあります。

ここでは、BIMの具体的な機能とメリットについて解説します。

工程管理がスムーズになる

BIMを導入するメリットは、工程管理をスムーズに行えることです。

BIMは設計で主に使われていましたが、最近は施工管理で使用されることも増えています。

BuildApp総合研究所が2025年に実施した「建設産業従事者1,257人への独自調査」において、BIMの活用シーンは1位が施工で45.3%となっています。前年に比べ施工でのBIM活用が29.1ポイント上昇するなど、施工管理で使用されるケースが増えているのが特徴です。

BIMは企画から設計、施工、管理に至るまですべての情報が連動しています。そのため、どこかを修正した場合に、関連するすべてのデータが自動で修復されるため、手直しを行う必要がありません。

従来の方法だと、修正が発生した場合に、関連するすべてのデータを手直しする必要があり、手間がかかっていました。BIMを導入すればすべてのデータが連動しているため、修正した部分が自動的に反映され、大幅な作業の削減につながります。

精度の高いシミュレーションができる

BIMには、建物の設計段階からさまざまなシミュレーションを高精度で行えるメリットがあります。

例えば、日照や通風、空調、エネルギー消費量などの環境シミュレーションを実施し、設計内容の最適化や省エネ性能の向上を図ることが可能です。また、施工プロセスや避難経路の検討、工程の可視化なども3Dモデル上でシミュレーションできます。

従来、一般的には構造や空調などのシミュレーションや解析は、専門家に依頼するケースも多くありました。しかし、BIMを導入すれば専門家に依頼する手間が省ける場合も増え、費用や時間も抑えることができます。

このようにBIMを導入することで、精度の高いシミュレーションが可能となり、建築プロジェクト全体のリスク削減やコスト削減にも大きな効果が期待できます。

コスト削減につながる

BIMの導入は、コスト削減につながるメリットもあります。

なぜなら、情報共有がリアルタイムで行えるため、関係者間のコミュニケーションが円滑になって作業の重複が減り、全体の人件費や工事費の削減につながるためです。

また、BIMの活用によって必要な資材や数量を正確に算出できるため、過剰な発注や不足を防ぎ、資材費を最適化することもできます。さらに設計段階で問題点を可視化し、事前に対策を講じることで、予期せぬトラブルや追加費用の発生リスクも減らせます。

施主の印象がよくなる

BIMは施主に対していい印象を与えやすいメリットもあります。

その理由は、BIMを使うことで建物の設計を3次元モデルで視覚化できるため、施主は完成イメージや空間の広がり、デザインの細部まで直感的に把握できるからです。

従来の2D図面ではイメージしにくい部分も、BIMなら早い段階で立体的なモデルを共有できます。これにより、施主とのコミュニケーションも円滑になり、納得感や安心感が高まります。

設計品質の向上

設計品質の向上につながることも、BIMを導入するメリットの一つです。

BIMは一貫した情報管理によって、設計ミスや図面間の不具合などを早期に発見できます。さらに3Dモデルを活用した干渉チェックにより、構造・設備・内装など異なる部分の衝突や配置ミスを事前に検出することで、手戻りや現場での追加作業を大幅に削減可能です。

このようにBIMを活用することで、設計段階から施工、維持管理に至るまで情報の一貫性と精度が確保され、建物全体の品質向上に貢献します。

BIMの導入で必要なもの

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BIMを導入するにあたって、用意しなければならないものや環境があります。

ここでは、BIMの導入で必要なものを解説します。

BIMソフトウェア

BIMを導入する際には、まずプロジェクトに適したBIMソフトウェアを用意する必要があります。さまざまな種類があるため、用途や規模、業務内容に応じて選びましょう。

以下は、日本でよく使われているBIMソフトウェアです。

  • Revit(Autodesk社)
  • ARCHICAD(GRAPHISOFT社)
  • GLOOBE(福井コンピュータアーキテクト)
  • Vectorworks (Vectorworks社)

中には体験版が利用できるBIMソフトウェアもあるため、まずは実際に使ってみてから導入を検討することをおすすめします。

BIMおすすめソフト比較 CADとの違いは?無料版は?

PC環境

BIMを導入するにあたって、PC環境を整えておく必要もあります。

3Dモデリングや大容量データの処理をスムーズに行うために、高性能なCPUや十分なメモリ、ストレージ、GPU(グラフィックス)を搭載したPCが推奨されます。

以下は、プロジェクトの規模に応じたパソコンのスペックの目安です。

CPUメモリストレージGPU
小規模プロジェクトIntel Core i5、AMD Ryzen 5 以上16GB以上SSD 512GB2GB以上のVRAM、(OpenGL 4.0対応)
中規模プロジェクトIntel Core i7、AMD Ryzen 7 以上32GB以上NVMe SSD 512GB4GB以上のVRAM、(OpenGL 4.0対応)
大規模プロジェクトIntel Core i9、AMD Ryzen 9 以上64GB以上NVMe SSD 1TB6GB以上のVRAM、(OpenGL 4.0対応)

プロジェクト規模が大きくなるほどデータ容量や処理負担が増えるため、十分なスペックを確保する必要があります。

BIMを扱える人材

BIMを導入する際には、BIMソフトやPC環境だけでなく、BIMを扱える人材の確保や育成も重要です。BIMは従来のCADに比べると高度な知識やスキルが必要とされるため、単にソフトを導入するだけでは十分に活用できない可能性があります。

BIMを導入しても、扱える人材が不足しているために活用が進まない企業もあります。

このようにBIMを十分に活用して業務効率化や生産性向上などの導入効果を得るためには、BIMを扱える人材の確保や育成が重要です。

導入後のコストの把握

BIMを導入するにあたって、コストを正確に把握しておく必要があります。

その理由は、BIM導入による効率化やコスト削減の効果は大きい一方で、導入やランニングコストも大きいためです。正確なコスト把握がなければ、期待した経済効果を得ることはできず、コストの回収が難しくなる可能性があります。

BIMの導入にかかるコストとして、導入コストとランニングコストがあります。

企業規模や運用範囲によってコストは大きく変動するため、事前に費用対効果のシミュレーションを行い、無理のない導入計画を立てることが大切です。

まとめ

BIMは建築物の3次元モデルに加えて、資材や寸法、コスト、工程など多様な属性情報を統合管理できる便利なシステムです。

従来の3D CADが形状や寸法の設計に特化していたのに対して、BIMは設計から施工、維持管理まで建物のライフサイクル全体を一元管理できます。

BIMの導入によって設計エラーの削減や工程管理の効率化、コスト削減、精度の高いシミュレーションなどさまざまな効果が期待できます。一方で、導入には適切なBIMソフトウェアの選定やPC環境、人材の確保、コストの把握なども事前に必要です。

これらの課題も踏まえながら、BIMを活用していきましょう。

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